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このように、欧米においてはFMSの導入に向けた取組みが既に開始されている。ISOにおける審議も進んでおり、国際標準規格の制定後は各国でFMS構築のための具体的なプログラムライブラリやアプリケーションの開発が活発化するものと思われる。

これは、いわば机上の議論である公式(デジュア)な標準を決める競争ステージから、製品レベルでのデファクト標準を決める競争ステージに移行することを意味する。

 

(1) 米国における動向

米国におけるFMSNを実装する取組みとして、ISIT (Integrated Shipboard Information Technology)プロジェクトがある。ISITの構成は図-2であるが、まさにIS015849におけるSITPそのものであり、サポートするオペレーティングシステムにはWindows/NT、データベースソフトウェアには同じくMicrosoftのSQL Serverを採用している。また、APIの実装アーキテクチャにはCORBAを採用し、APIの実体となるプログラムライブラリはC++言語のインタフェースとして提供される。

 

(2) 欧州における動向

欧州では、ノルウェーが中心となってEUの補助を受けて、図-5に示す研究開発を推進している。その取組みは、舶用機器を繋ぐネットワーク上のプロトコルから、米国ISITのようなシステムレベルの実証実験までと幅広いものである。

 

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図3-20 欧州における様々な取組み(出所;PISCES資料)

 

機器間のネットワークプロトコルの検討は、MiTS (Maritime IT Standard)プロジェクトおよび後継となるPISCES (MiTS MK II、Protocols for Integrated Ship Control and Evaluation of Situations)プロジェクトで行われている。

COMMAN (Communication Manager System for Data Exchange for Ship Operation)とDISC (Demonstrator for Integrated Ship Control、フェーズIおよびフェーズII)があり、COMMANはPISCESプロトコルを使った船内および船陸間の通信管理機能を提供するアプリケーションの実験を、またDISCはそれらを用いたシステム・アプリケーションの実行を試行するものである。

 

 

 

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