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ポータル戦略では、ユーザーを囲い込むための機能、コンテンツをより多く集め、より質の高いサービスを提供できたサイトこそ多くのユーザーを集めることができる、と考えられている。しかし、実際の競争においてはサイトのブランド力こそ大きな決め手となると思われている。今、米国のインターネットにおいてポータル・ポジションの獲得に名乗りを挙げているのは、

A. 接続部分をおさえ、優位なデフォルト・スタートページからポータルを狙う、

・アメリカオンライン(ISP:プロバイダ)

・マイクロソフト、ネットスケープ(ブラウザー提供)

・CNET系のスナップ!オンライン、プラネット・ダイレクト(ISP向けにスタートページ用コンテンツを提供する業者)

B. 認知度を高め、必ず通る拠点としてブックマークしてもらう戦略をとる、

・ヤフー!、エキサイト、インフォシーク、ライコス(サーチエンジン)

などである。これらは、インターネットビジネスにおいて最も影響力を持つ可能性を秘めた存在として、目下、大きな注目を集めている。

 

(2)なぜ、ポータルに注目が集まるのか?

インターネットビジネスの世界でポータルが最も力を持つといわれるゆえんは、ポータル・サイトが囲い込む膨大な量のユーザー・アクセスに他ならない。

つまり、ポータル・ポジションを獲得した企業は、非常に高い視聴率を稼ぐメディアとして巨額のインターネット広告収入を手中に収めることができる。

そしてさらに、ポータルは大量のユーザーアクセスをもつようになったことで、新たにEC提携(リンク提携ともいう)によるコミッションという大きな収入源を確保できるようになってきた。つまり、ポータルサイトは、特定のショッピング・サイトと独占契約(例えば、ポータルのサイト内での独占出店権、独占リンク権など)を結ぶことによって、そのサイトヘ優先的に大量のユーザーを流し、いわば顧客紹介料(売上の一定比率を手数料としてシェアする形態が一般的)を徴収できるようになった。

ショッピングサイトにしてみれば、ポータルのユーザーを独占的に自社サイトに呼び込む大口の集客ルートを作ることで、ライバルを引き離すことができる。従って、ECの各市場(書籍販売、音楽、旅行、金融など‥)内では、主要サイトが競ってポータルに高い契約金を支払い、集客ルートを独占しようという動きが活発化している。

 

 

 

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