3. 情報交換技術動向
本章では、情報技術に関しての最新動向について記述する。
まず、3.1項でEC市場全体についての動向概略を記述し、3.2項では造舶Webのような企業間ネットワークを一般にエクストラネットと呼ぶが、そのエクストラネットの現状と事例について記述する。3.3項では、造舶Webに関わる主な情報技術を選び、その動向について記述する。最後に、3.4項では、海運造船分野における情報化プロジェクトの動向について記述する。
3.1 EC市場
電子商取引(EC)とは、一言でいうと「商取引をインターネット技術(TCP/IP)を利用したネットワーク上で行うこと」と定義できる。一般的に、企業・消費者間の取引であるBtoCと企業間取引を示すBtoBに大別される。
3.1.1 日本のEC市場
通産省とアンダーセン・コンサルティングが99年3月に発表した市場調査では、ECを「商取引(=経済主体間での財の商業的移転に関わる、受発注者間の物品、サービス、情報、金銭)を、インターネット技術を利用した電子的媒体を通して行うこと」と定義している。この調査によると、1998年における日本のEC市場規模推計は、BtoCで650億円、BtoBで8.62兆円であり、今後5年間の成長予測については下のグラフのとおりである。
一方、99年6月に刊行された郵政省の「平成10年版通信白書」では、電子商取引を「TCP/IPを利用したコンピュータネットワーク上での商取引」と定義。その内訳を、何を取引するかに着目して「最終消費財市場(BtoC及びBtoBの主にMRO*取引分野)」と「原材料取引市場(BtoBの主に調達分野)」に分類し、独自のEC市場規模を推計している。それぞれの98年における市場規模は最終消費財市場が1,665億円、原材料取引市場が2兆4,314億円と発表している。