9]適応性:
エージェントの中には以前の経験に基づいて、ユーザーの好みに沿って自身を自律的にカスタマイズするものもある。これらのエージェントはまた、環境にも自律的に適応する
10]可動性:
エージェントの中には、マシン間、異なるシステムやプラットフォーム間を移動できなければならないものもある
このように、通信というのはエージェントの重要な属性である。エージェントの自律性を保つために、エージェントは効果的な通信言語機構を用いて他者と通信できなければならず、通常3つのコンポーネントを持っている。それは特定のドメインにおいて、概念及び概念の間の関連を定義するオントロジ、ドメインに関する情報や知識を表現するのに用いられる言語、情報や知識を運ぶためのプロトコルである。オントロジは通常ドメインに従属であり、例えば、平成5年度の造船業CIMに関する開発研究で検討された造船業CIMフレームモデルは、造船業ドメインの概念とそれらの関連とを捉えたオントロジである。通信言語及びプロトコルとしては、後述するKIF及びKQMLがそれぞれ広く用いられている。
(3) エージェントと通信機能
既に述べたように、エージェントが相互に(あるいは他のオブジェクトと)通信するという機能は、エージェントの基本的な機能の一つである。エージェントの通信機能を実現するうえで、現状では通信プロトコルとしてKQML、通信言語としてKIFが広く用いられている。
KQMLは(Knowledge Query and Manipulation Language)の略で、情報や知識を交換するためのプロトコルである。KQMLは、知的システムと相互作用するアプリケーション用の言語として用いたり、複数の知的システム間で共通の問題を解くために知識を共有するのに用いることが出来る。KQMLの特徴は拡張可能なパフォーマティブ(performative)にある。パフォーマティブとは、エージェントが自身の目的を遂行するための許容された操作である。パフォーマティブは、契約ネットや交渉といった、より高レベルのエージェント間通信を開発するための土台となる。更に、KQMLはエージェント間の相互作用を調整する、通信ファシリテータという特別なエージェントを介して、知識を共有する基本的なアーキテクチャを提供する。KQMLの先進的な設計思想の中に現れた概念は、コンカレントエンジニアリング、知的設計・プランニング・スケジューリングといった分野のテストベッドにおいて、プロトタイプとして試みられている。
KIF(Knowledge Interchange Format:知識交換形式)は、異種プログラム間で知識を交換するためのコンピュータ向けの言語で、その特徴は: