(1) A−機能設計
(a) A1−プロジェクトチーム型の設計体制化
課・係別の縦割りの体制から、案件ごとに必要スキルを持つ設計者がチームを組み、1人のプロジェクトマネジャーにより統率される、フラットな体制となる。設計チームは、PMを共有し、ネットワークを介して自在に情報交換を行いながら設計を進める。業務プロセスに従って、設計が進むようにエージェントが協業を支援し、場所の遠近を問わない、外注も含めたバーチャル設計チームが組まれる。
(b) A2−設計の最適化レベルの向上
3次元ソリッドモデル化されたPMと、強大なパワーを持つ、パソコンを利用したデジタルエンジニアリング環境となる。CAE・CAD・CAMと各種シミュレーションソフトウェアの統合を行い、信頼性と最適化レベルが格段に向上し、開発期間も大幅に短縮され、干渉による不具合は無くなる。高機能化したPDMによって設計履歴が保存され、検討ケースを体系的に生成・保存することが出来る。ビジュアリゼーションやバーチャルリアリティが進み、顧客・営業・資材・設計・生技・工作部門間の情報共有と製品理解が、設計初期段階から可能となり、各部門の要求が早い段階で抽出・吟味・検討され、最適化される。
(c) A3−コンカレントエンジニアリングの円滑化
設計と工作情報を広くカバーするPMを共有することで、時宜を得た情報交換が可能となり、最新の情報を利用して、整合性の取れた並行作業が円滑に行える。解析ソフトウェアなど、各種アプリケーションと自在に連携することが可能となり、データ再入力などは無くなる。各設計者には知的エージェントがついて、適切なアドバイスを行う。エージェント同士が調整を行い、チーム全体が標準プロセスに沿って進むよう支援してくれる。未確定情報、もしくは想定した情報も取り扱うことが可能となり、情報ステータスが変更になれば、瞬時に設計者に連絡される。バージョン管理が明確に行われ、検討バージョンを手軽に作成・配布し、調整した結果は、整合性を保持しながら容易に公開バージョンに織り込める。
(d) A4−設計変更時の整合性の自動的な確保
製品の常識的知識を持つPMによって、製品に関する基本的な整合性が取れた設計情報が生成される。また、設計者をサポートするエージェントは、設計者の操作をすべて監視しており、設計変更が発生したときは、関連する設計者・部門に漏れなく伝達し、設計信頼性が確保される。知識処理が進み、高度な倣い設計機能が実現するとともに、設計変更による関連情報の自動修正が、かなりの部分で可能となる。