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5.2 初期生産設計アプリケーション

アプリケーションの運用シナリオから今後の展望に至るまでを述べる。

運用シナリオでは、現状のブロック分割業務について整理し、機能概要では、実現されているアプリケーションの機能一覧を示す。操作手順では、機能一覧で示した機能の具体的な操作手順を画面例とともに記す。システム開発環境では、具体的な開発環境やシステム構成について、知識表現方法の具体化では、PMに表現されているブロック分割業務の知識表現について述べる。そして、最後に今後の展望と要素技術への期待などについて触れる。

 

5.2.1 運用シナリオ

「初期生産設計」とは従来「ブロック分割」と呼んでいたもので、大きく3つのフェーズに分類され、それぞれは、設計情報の完成度や工事日程によって、その目的や処理内容が異なる。

(1) 1次フェーズ

1次フェーズは、主に組立と加工の作業性の検討を行うためのものである。この段階では分割するブロックの重量や形状は重視せず、主にブロックを構成する中間製品の組立と加工の作業性について検討する。検討は、概略の線図情報、一般配置情報、機関室配置情報、中央断面情報を基に実施され、検討された項目は基本設計にフィードバックされる。基本設計はこの情報を構造配置に反映し、線図情報によって外板やロンジの曲げ加工性、一般配置情報でタンクや居住区の位置、機関室配置情報で、大型機器配置や主機搭載用スペース、また、中央断面情報でロンジスペースや、大骨の寸法や形状などが検討される。

(2) 2次フェーズ

2次フェーズは、ブロックの重量や寸法を考慮して継手配置の検討を行うためのものである。検討は1次フェーズのフィードバックが織り込まれた線図情報、一般配置情報、機関室配置情報及び中央断面図並びに工場設備制約を基に実施され、検討された継手配置は基本設計にフィードバックされる。基本設計は、このブロック継手配置情報を、船殻の強度計算や艤装品の配置に反映する。また、本フェーズでは、ブロック重量や溶接長などの管理物量が概算されて、中日程計画などに反映される。

(3) 3次フェーズ

3次フェーズは、ブロックごとの組立手順を考慮して、ブロック継手、ブロック内継手を決定するためのものである。検討は、2次フェーズまでに作成された概略ブロック分割情報や、構造別の仮の構造情報を基に実施され、検討された継手配置は、詳細設計と生産設計にフィードバックされる。詳細設計と生産設計は、この継手位置情報を生産計画の基本情報として反映させる。

作業フェーズをまとめたものを表5.2-1に示す。

 

 

 

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