(5) 交通艤装
(a) 考え方
他分野の系統と配置空間に相当する概念を、交通艤装にも設けることとした。系統に相当する概念を交通定義、配置空間に相当する概念を交通空間と呼ぶ。ただし、これらを定義しない状態で、部品だけを配置することも可能である。
これらを定義する場合、次のような使い方をする。
・梯子や歩路のように、「経路」を設置目的とする交通艤装:
「経路」を交通定義として定義する。この場合の「経路」が経由するのは、座標ではなく、何らかの区域を示すオブジェクトである。すなわち、位置を問題にするのではなく、「つながっていること」を定義するのが第一の目的である。もちろん、座標も表現可能だが、それが主目的ではなく、交通定義が他分野の系統に相当するという意味はここにある。交通定義は「設置目的」を属性として持つ。
これらの交通定義が通る空間の確保が必要な場合、交通空間を定義して両者を関連付け、その後、交通定義上に交通部品を配置して行く。
なお、梯子や歩路のように交通方向に長さを持つものだけに限らず、マンホール蓋や扉なども「2区域をつなげている」という点で、この交通定義の考え方の対象となる
・敷板のように、「経路」というよりは「領域」を設置目的とする交通艤装:
領域の確保という観点で、交通空間を定義する。この交通空間は「設置目的」を属性として持つ
このようにして定義された交通定義・交通空間・交通部品によって、交通対象区域と交通艤装品の関係や、孔開け関係を活用した交通孔と交通艤装品の整合性の維持を図ることが出来る。
交通艤装については、同一仕様の複数系統(交通定義)をまとめて扱うという考え方は薄いと考えられるので、系統仕様に相当する概念は設けていない。
交通艤装は、取付単位より下位の単位の要素ごとに定義操作を行った後、それらを集約して、取付単位の部品を定義するというものではない。例えば、側板・ステップを別々に定義し終えてから、梯子1本単位にそれらを集約するという性質のものではなく、先に梯子1本という単位が決まるものである。それで、交通艤装は、取付単位の部品(例えば、梯子1本、マンホール蓋1個)を1オブジェクトとして表現することとした。
(b) 拡張の概要
次のクラスを設けた。
・設計概念として、交通定義・交通空間クラス
・部品として、直立梯子・傾斜梯子・マンホール蓋・交通ハッチ・敷板・手摺・交通単品クラス