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(b) 系統と経路の定義

一般に、製品設計では多くの設計意図が機能設計で盛り込まれ、それらの設計意図は生産設計を経て、正しく実体化されるものである。

艤装設計においては、機能設計で盛り込まれる設計意図は、多くが系統や経路で表現される。PM上にこの系統や経路情報を一元化し、生産設計である配置設計においても、この情報を共有して設計を展開する。その結果、機能設計意図を正しく実体化する意味での、設計品質の向上と、機能設計と生産設計の間の意志疎通面で、設計業務の効率化が得られる。

なお、ここでいう系統や経路とは、その言葉によって一般にイメージされる管の分野だけを指すものではなく、電線・通風ダクト・交通の分野も含んでいる。

(2) バージョン管理

異分野(艤装−艤装、艤装−船殻)設計の最新バージョンを、自分が常に参照していることが保証されている環境で、設計業務を展開する。

なお、工程設計アプリケーション自体については、5.において触れることとし、ここでは、その前提となる艤装品表現について述べる。バージョン管理については2.5で述べた。

 

3.5.2 現状業務の整理と機能要件の抽出

設定された「あるべき運用」を目標にして、現状の艤装設計業務の実態を把握し整理しながら、機能要件を抽出した。

(1) 艤装品表現範囲

殻艤一体工程設計の前提としての艤装品表現範囲について、次の検討を行った。

なお、居住区の内装材(壁パネル、天井パネル、防熱材など)については、各造船所とも一括外注工事の傾向が強いため、工程設計の前提として表現しておく意義が薄く、他の艤装品より優先度が低いと考え、対象から除外した。

(a) 艤装設計全体業務フローの整理

艤装設計業務の全体像を整理する目的で、IDEF0を用いて業務フロー図を作成した。例を図3.5-4に示す。これによって、艤装設計の中で、どういう艤装品が定義されているのかを概観することが出来る。

(b) 既存システムの整理

「艤装に関する属性データの調査」アンケートを実施した。これは、各社の既存システムにおける、艤装品の表現範囲や属性を調査したものである。

このアンケートの目的は2つあり、一つは5.に述べる「既存システムとPMDBとのデータ交換」の検討材料とすることで、他は、各社の既存システムを分析することによって、艤装品がどのように分類され、表現されているのか、どのような属性情報を持っているのかを整理することである。

 

 

 

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