日本財団 図書館


5-1 資料A:JANSROPにおける船型開発

 

シップ・アンド・オーシャン財団では、INSROP開始に並行して、「北極海航路開発調査研究委員会」を設立し、INSROPの推進にあたるとともに、わが国独自の立場からのNSR関連研究事業をJANSROPとして実施した。JANSROPにおいては以下のような研究が実施された。

●北極海航路最適船の研究(平成5〜7年度)

●氷海用船舶の基本性能に関する研究調査(平成9年度)

●NSRにおける氷況の数値予測システムの研究開発(平成9、10年度)

平成5年度から7年度にかけて行われた「北極海航路最適船の研究」は、さらに以下の項目について研究が行われた。

●最適船型の開発に関する氷中及び開水中模型実験

●氷海用プロペラの特性解析及び氷との干渉に関する研究

●氷盤と波浪の干渉に関する研究

●実氷海域データの分析

ここでは、本書第4章の内容に対応する資料として、NSR用氷海商船の船型開発に関わる研究内容を中心としてその概要を示す。なお、これらの研究の詳細については、シップ・アンド・オーシャン財団による事業報告書を参照されたい。

 

本資料中の図においては必要に応じて以下の記号を用いた。

B:船幅

D:船の深さ

Fn:船長を用いたフルード数

L:船長

R:氷板中全抵抗

V:船速

g:重力加速度

h:氷厚

t:スラスト減少計数

w:伴流係数

p:水の密度

 

NSR用氷海商船の船型開発に関わる研究は、第1期(平成5〜7年度)、第2期(平成9年度)の2期に分けて行われた。第1期研究では、ロシア沿岸の浅水域における航行が可能な浅喫水の氷海商船を対象とした船型開発を行った。一方、第2期研究においては、沖合いの航路を航行することを想定したより喫水の深い氷海商船についての研究を行った。この研究は、スエズ経由等の従来航路との経済性比較の上で喫水制限の緩和による船舶の大型化が重要なポイントであることとともに、この研究に並行して行われたINSROPにおけるNSR航行シミュレーションの対象船舶とすることを目的として実施された。以下それぞれの研究について述べる。

 

1. 沿岸NSR用氷海商船の開発

沿岸NSR用氷海商船の船型開発は、以下の手順で行われた。

●基本設計(平成5年)

沿岸NSRの水深、港湾等の調査に基づき、対象船舶の主要目等を決定した。これに基づき候補船型を設計し、実験用模型船を製作した。

●水槽実験(平成6年)

昨年度に設計・製作した模型船を用いて、氷中及び開水中における各種模型実験を行った。

●新船型の開発及び実験(平成6、7年)

上記実験結果から各種船型の特徴を解析し、これに基づき新船型の設計を行った。新船型についても模型船を作成し、模型実験に供した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION