日本財団 図書館


12. 海上航行に関係ある用語

船が氷にとり囲まれ動けない状態をビセット(Beset)と呼ぶ。湾や入江などが氷のために船の航行が妨げられている状態を氷塞(Ice-bound)という。ただし、砕氷船の援助が可能なときには使用しない。氷が船を強く押しつけている状態はニップ(Nip)と呼ばれ、氷に挟まれていろ船が損害を受けていなくてもニップを受けていると表現する。航行の障害や危険が起こる恐れがあるほど変形作用が活発に行われている氷を圧迫氷(Ice under pressure)と名付けている。ある海域で、航行が困難な厳しい氷の状態が卓越している海氷域を難航水域(Difficult area)といい、航行が困難でない状態が卓越している海氷域を可航水域(Easy area)という。この二つは、相対的で定性的な表現である。浮氷壁が湾入していて船を横付けして直接棚氷上に荷揚げができるような所を氷港(Ice port)という。一時的に形成されて短期的に使用される場合が多い。

 

13. 水中航行に関係ある用語

潜水艦から流氷を見上げた状態の氷を天蓋氷(Ice canopy)という。天蓋氷の中の薄い部分を水中から見上げた状態をスカイライト(Sky light)と呼び、厚さは普通1m以下で、下から見ると暗く囲まれた中の比較的明るく半透明の部分で、スカイライトの下面は通常平らである。潜水艦が海面に浮上を試みるにじゅうぶんな大きさ(差渡し120m以上)があれば大スカイライト、それ以下は小スカイライトと呼ぶ。潜水艦の浮上に適した多くの大スカイライトをもつ天蓋氷を浮上安全氷(Friendly ice)というが、潜水艦の浮上には航路30海里につき10個以上そのような浮上適地がなければならない。潜水艦の浮上に適したスカイライトがない天蓋氷を浮上困難氷(Hostile ice)と呼ぶ。氷丘と対称的に天蓋氷の底面から下に向かって突き出した部分をさかさ氷丘(Bummock)、氷丘脈と対称的に天蓋氷の底面から下に向いて突き出している部分を竜骨氷(Ice keel)という。さかさ氷丘や竜骨氷は、場所によっては海面下50m程も突出していることがある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION