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浮氷の形態による分類では、結氷初期のグリース・アイス、雪泥、海綿氷などが弱いうねりで揺すられたり、氷殻やニラスが割れたりすると、互いにぶつかり合って縁のまくれ上ったほぼ円形の氷、はす葉氷(Pancake ice)となる。直径は30cm〜3mで、厚さは10cm前後のものが多い。はす葉氷によって波長の短い波浪が押さえられ、一緒に上下するはす葉氷が互いに凍りついて次々に大きなはす葉氷、小板氷、板氷へと移行する。直径が2mより小さい比較的平坦な海氷が小板氷(Small ice cake)、直径が2mを超え20mより小さい比較的平坦な海氷が板氷(Ice cake)である。

直径が20m以上の比較的平らな海氷を氷盤(Floe)という。氷盤はその大きさによってさらに分類されるが、WMO海氷用語とロシアの現行海氷用語とでは区分の大きさと呼び方に違いがある。WMO用語では、直径が20〜100mのものを小氷盤(Small floe)、100〜500mを中氷盤(Medium floe)、500m〜2kmを大氷盤(Big floe)、2〜10kmを巨氷盤(Vast floe)、10km以上を巨大氷盤(Giant floe)と呼ぶ。それに対して、ロシアの海氷用語では、2〜25mを板氷片、25〜100mを小氷盤片、100〜500mを氷盤片、500m〜2kmを中氷盤、2〜5kmを大氷盤、5〜10kmを巨氷盤、10km以上を巨大氷盤としている。それゆえ中氷盤、大氷盤などは、両者でその大きさが完全に食い違っている。

氷塊の集合体は、直径2m以下のさまざまな形に砕けた氷片の集合を砕け氷(Brash ice)、一つの氷丘またはいくつかの氷丘が凍りついた大きな浮いている海氷塊で海面上の高さが5m以下のものを大氷岩(Floeberg)、年令の異なる氷が一緒に凍結している氷塊をモザイク氷(Ice breccia)と呼んでいる。

いろいろの大きさの氷盤群からなる流氷域で、さしわたしが10kmより小さい流氷域は流氷原(Ice patch)、10kmより大きい流氷域は流氷野(Ice field)と呼ぶ。流氷野は更に10〜15kmの小流氷野(Small ice field)、15km〜20kmの中流氷野(Medium ice field)、20kmを超える大流氷野(Large ice field)に分けられる。大流氷野より広範囲の数千km2におよぶ全密接流氷域は、大氷域、アイスマッシフ(Ice massif)と呼ばれ、毎年夏にほぼ同海域に現れる多年海氷域である。ロシアの現行海氷用語ではアイスマッシフを更に細かく分類し、北極海規模大氷域(Oceanic ice massif)、海域規模大氷域(Regional ice massif)、地方大氷域(Provincial ice massif)、局所大氷域(Local ice massif)などに分けている。

流氷の本体から分離した小氷片が、1km以下の幅で細長い筋状となって漂流する流氷を小氷帯(Strip)といい、1kmから100kmにおよぶ幅で細長く伸びている流氷の配列を流氷帯(Belt)という。密接度7/10以上の2つの流氷域を繋ぐ狭い結合部をイスマス、氷峡(Ice isthmus)と呼ぶ。しばしば航路として推奨されるが、通過するのは困難なことが多い。海峡に砕けた海氷が詰まったり、河川で河氷が詰まったりする状態はアイスジャム、つまり氷(Ice jam)と名付けられている。

 

 

 

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