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死亡率の増加と繁殖力、成長率の低下が最も生物にとって顕著な影響である。比較的高位の生物は、一般的に汚染による影響を中性化し、順応しようとする。汚染が起きると、細胞レベルである特定の構成された要素を分解、排出しようとする反応が起きる。また、ある生物の種の死亡率が大きくなると、多産により補おうとする。

一旦、汚染物質が生物に入り込み順応するような作用が起きると、その生物は環境的なストレスを受けていると考えられる。合成された物質を生物が分解、排出する能力が限界を超えると、汚染物質は生物体の中に蓄積されることになる。多くの生物レベルで、悪影響を推定する効率の良い手法が国際的学会の中で提案されている。一方、環境評価としては、個体の反応ではなく、生息数を把握することが生物学的には重要であることが認識されている。生息数の変化がなければ、影響の深刻度は少ないと考えられる。この考え方はINSROPの環境評価にも取り入れられている考え方であり、ノルウェーの石油開発における環境評価にも採用されている考え方である。

生物学的な影響と環境影響(Environmental Impact)を発生させるためには、影響因子(Impact Factor;汚染、騒音など)がある時間、生態系に対して作用する必要がある。影響因子と生態系(Ecosystem)は、時間的にも空間的にも変化しており、同時に起きることは少ない。従って、潜在的な影響は、影響因子と生態系が遭遇した時点のみに対応している(最初は同時に存在するが、その後は汚染、撹乱のない状態になる場合が多い)。損害の最大値を算定するためには、

●損害の範囲(Extent of Damage)

●損害の期間(Duration of Damage)

の2つのパラメーターを組み合わせる必要がある。

初期の損害は汚染源に曝されたときに相当するが、損害の期間は最大の損害から生息数、構成などが同様の非汚染地域と同等にまで回復する期間を意味する。

全ての生物的な資源が潜在的に環境復元に役に立つが、それらは主として無機的な因子(汚染のタイプ、曝された時間、量など)と生物的な因子(汚染に対する適応反応、許容及び抵抗力、再生能力など)に分けられる。固有の因子としては、ある汚染に対しては、種、生息数、集団に特有の許容値(tolerance-sensitivity)ができる場合がある。生息数が激減した極限状態では、生息数は回復することがなく、永続することになる。生息地が物理的、化学的またはその規模において外乱を受けたり、変化を受けた場合、その地域はある生物の生息に向かなくなる。有害物質および環境ストレスによる脆弱性(Vulnerability)とは、影響因子に対して、ある生態系が潜在的にどの程度の被害を受けやすいかを示すものである。INSROPの環境影響評価では、生態系の個々と代表的な種の脆弱性は、幾つかの指標の相対評価として表示する方法が取られている。生態系の各要素は、あるタイプの影響を代表しているので、これらの指標は影響因子(Impact Factors)を考慮して決められている。

 

(2) 脆弱性の評価と潜在的な影響レベル

生態系の各要素に対して、起こりうると考えられる事象を影響仮説(Impact Hypotheses)として作成されている。INSROP Phase Iでは、59の影響仮説が選定されたVECに対して検討された。

 

 

 

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