表層海流の移送速度は概略1〜4cm/sec(年間300〜1,200km)程度である。北極海の大きさが約4,000kmであるから、表層水は平均滞留時間3〜10年で入れ代わることになる。一方、氷の移動速度から換算すると、約5年になる。
北極海の海水の鉛直構造とその海水の平均滞留時間の概略を図4.5-2に示す。表層水については、上記の通りである。表層の低塩分水(Polar mixed layer)の下には塩分躍層(Halocline)があり、そこの水の平均滞留時間は10年程度、その下のAtlantic layerの平均滞留時間はおそらく30年程度であろう。その下のArctic deep waterの平均滞留時間は、100年を超える。