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・ムース化油の内訳は、油分約30%、海水約70%である。

(ロ)流出直後の油

流出直後の油に対しては、新型油処理剤が有効で、従来の油処理剤では効果がないと思われる。

(理由)

・新型油処理剤で処理された油は、黒ずんだ色で乳白色にはならないが、油を微粒子状に分散しているため、付着力がない(油処理剤の効果が乳白色になると認識している人にとっては効果がないと見えるかもしれない。)。

・従来の油処理剤のうち1種類は、乳化分散効果があるものの、完全に微粒子状にできないため、付着力がある。

ロ 客観的評価

流出直後のC重油を使用して、油処理剤の性能試験方法に準拠して乳化試験を行った結果は、次のとおりである。

なお、油処理剤の添加は別々添加(性能試験方法は事前添加)、試験温度は8℃(性能試験方法は20℃)で実施した(推定粘度は、10,000〜15,000cStである。)。

 

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(4) 専用散布装置の使用

油の処理率を確保し、油処理剤の無駄をなくすため、油処理剤は専用の散布装置を使用して散布すべきである。

専用散布装置が利用できない場合、応急の手段として消防ポンプと泡消火ノズルが用いられる。しかし、我が国の現状の油処理剤のような炭化水素型の油処理剤は、事前に海水と希釈すると、表−4に示すように、界面活性剤が働かなくなることにより性能が低下するので、この方法では使用すべきではない。

 

表−4 B重油に対する原液散布と希釈散布における乳化率の変化

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また、泡消火ノズル等を用いて、油処理剤を棒状散布すると、油処理剤が油膜を突き破り、油膜の下の海水と反応することにより、その効果が低下する(写真−7及び写真−8参照)。

 

 

 

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