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また、石油コンビナート等災害防止法で「特別防災区域」に指定された区域では、特別に「コンビナート防災計画」が作成されており、この計画により防除体制がとられることとなる。

 

(1) 現状の把握

1]流出油の確認

回収しなければならない油について次の事項を把握し検討する。

a.流出した油の種類と性状(引火、有毒、粘度、流動点、比重等)

b.全体の搭載量と流出した油の量

c.流出油の状況(瞬間流出、一定時間の流出又は流出が止まっているのか)

d.油の風化の程度

2]流出油の汚染域の範囲及び予測(シュミレーションがあれば参考にする)

3]周辺海域の地勢、保護海域

a.回収作業を展開する海域、回収油の陸揚げ港、受け入れ先(スロップタンク、焼却場等)。

b.油による汚染から優先的に保護される魚貝類の養殖場、自然、工業プラント等の位置。

c.沿岸漂着が発生しているのであれば、その周辺の地勢的特徴。

4]自然条件の評価、海象予報

a.海域の自然条件は、防除作業の難易性を大きく左右する。この難易性を客観的に評価することができれば各作業の実施がどこまで可能であり、行えるかの判断ができる。

b.気象予報の把握。季節、地域により特徴があり、油の漂流、漂着に大きく影響する。

c.海流、潮流の把握。

 

(2) 防除作業の実施

流出油は原油やC重油の場合、時間とともに、拡散し風化するため、防除作業が遅れると、作業海域が広範囲に及ぶだけでなく、回収しなければならない油の量もムース化等により2〜3倍に増える。

このため、流出油事故の発生後は早急に防除計画の策定を行い、実行に移す必要がある。

1]調査

油の性状、汚染源、汚染範囲、現場へのアクセス、回収手法、清掃方法、拠点の建設等についての正確な情報の把握のため調査を行う。

2]マンパワーの確保

防除作業は、海上、陸上で幾つかの作業グループにより行われることとなるが、各作業責任者を中心とする必要な作業員数を確保し、作業を始める前には目的、各人の役割分担、安全に係わる事項、基本的な知識等について説明し確認する。

 

 

 

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