日本財団 図書館


3] 本人および家族が、苦痛症状や病状悪化を認識することや、その状態に対応する能力がない

4] がん終末期状態での在宅生活に対して、本人・家族が不安を感じている

5] 経済上の理由、あるいは本人の死生観により、病状が悪化していても医療を受けようとしない

6] 家族関係に問題があり、介護が適切に行われるかどうか不安が感じられる

7] 日中本人一人の生活であり、急変時の対応ができない

 

今回の対象者は、全員緩和ケア病棟からの退院者あるいは緩和ケア外来受診者である。したがって、すでに病状が終末期の段階にあり、その状態で在宅生活を送ることに対して、医療関係者が不安を感じるのは当然であろう。対応が必要な問題発生時に迅速に対処できるようにしたいという理由から、訪問看護の導入を図った事例が多い。また緩和ケア病棟では、一般病院の場合より家族と医療関係者の接触の機会が多い。入院したときや必要に応じて家族面談がおこなわれる。面会時間の制約がないことも家族の姿が医療関係者の目に触れる機会を多くする。したがって、家族の問題も知る機会が多くなり、家族サポートの必要性を認識しやすい。

今回の対象者中、2例だけHOTを使用していたが、輸液や留置カテーテルを在宅で行っている患者はいなかった。

 

(2) 訪問看護の関わりで当面した問題−訪問看護に求められる能力

 

訪問看護において、前述の「訪問看護依頼理由」に対応するための能力が求められる。訪問看護実施事例それぞれについて求められた訪問看護婦の役割の具体的内容は、以下の表に記した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION