資料5
少子高齢化が進むなかでの新しい福祉理念と行政苦情救済活動への期待
後藤 澄江(日本福祉大学社会福祉学部教授)
・行政苦情救済による成果の恩恵を受けていることを改めて認識
個人の苦情救済と行政サービスの改善
・「社会福祉基礎構造改革」(1999.4)や介護保険制度からみる新しい福祉理念と自治体による福祉行政
(新しい福祉理念)
*自らの生活を自らの責任で営むこと(自己選択、自己決定)が基本
*自らの努力だけでは自立した生活を維持できない場合には社会連帯の考え方に立った支援
個人が人としての尊厳をもって、家庭や地域の中で、その人らしい自立した生活が送れるよう支える(ノーマライゼーション)
(自治体による福祉行政)
*地域での総合的な支援 (利用者本位のための保健・医療・福祉の連携、教育、就労、住宅、交通等の生活関連分野との連携)
*社会福祉を増進する責務(人権、権利擁護)
*福祉サービスの利用者と提供者との対等な関係の確立
*福祉サービスの提供者として多様な主体が参入することを促進
*福祉サービスの質と効率性の向上(利用者の選択による競争原理)
*事業の透明性の確保
*公正かつ公平な費用負担
*地域に根ざした福祉の文化の創造(住民参加の重視)
したがって、これからは、自治体の福祉行政が以下のような役割を遂行しない場合には、苦情という形で現れないまでも、住民の間に多様な要望や潜在的な不満が生まれやすいと考えられる。
・個人の自己選択を支えるとともに、権利擁護をおこなう
・地域における福祉サービスの質の向上に取り組む
・苦情解決の仕組みを作る
・情報公開により事業全体の透明性を確保する
・住民の意見を積極的に反映する
・「苦情」は行政改善の宝の山という雰囲気づくり
行政相談委員の方々や行政苦情処理委員会が、このような住民の要望、不満や苦情を受け止め、福祉行政への信頼が高まることを期待