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はしがき

 

平成11年11月に開催された「行政苦情救済・オンブズマン名古屋フォーラム」には、海外からマーティン・オースティン氏(前国際オンブズマン協会会長、前オランダナショナル・オンブズマン)をお招きし、また、国内からは約300人の方々のご参加をいただき、熱心な討議が行われました。

オランダからお招きをしたオースティン氏は、基調講演において、オンブズマンの最も重要な任務は、「国民の擁護者」たることであり、オンブズマンがその任務を適切に果たすためには、他者から指示を与えられないという「独立性」が保障されていなければならず、さらに、もう一つの必須条件は、国民がオンブズマンに「容易にアクセス出来る」ことである、旨を強調されました。

オースティン氏は、このようなオンブズマン制度の一般的特徴に照らし、我が国の行政相談制度を見た場合、オンブズマン制度とは相違点があるものの、行政監察局(政府部内の機関)の職員と行政相談委員のように、より外部の独立した立場の人々がネットワークを構成し、国民の苦情を処理するというシステムは、他の国々の「オンブズマンと同様の機能」を日本で果たしていることは明らかである、旨の見解を示されました。

同氏が、このように、我が国の行政相談制度について、我々が持っているのと同様の認識を持たれていることの背景には、これまで私どもが行ってきた国際交流活動が少なからず貢献しているものと考え、改めて国際交流の必要性を確信した次第です。

オースティン氏の講演に続き、名古屋大学法学部教授の後先生の司会で行われた、パネルディスカッションにおいては、各パネリストが、それぞれの立場から我が国の行政苦情救済制度について意見を述べられましたが、その要点は、「行政相談制度や行政相談委員制度は、国民によく周知されていなければ、その機能を十分に果たすことが出来ないことを思えば、これらの制度についての国民への周知ということが、非常に重要であり、そのためには、例えば、行政相談で処理した事案をマスメディアの活用等により一般国民に知らせる、ということを一層積極的に行う必要があるのではないか。」ということであったと思います。

私どももこれを機に、改めて行政相談(委員)制度について、より多くの人々に知っていただくための努力をする必要があると思います。

おわりに、本フォーラムの開催に当たり、多大のご協力をいただいた関係者の方々に対し深甚なる敬意と謝意を表します。

 

平成12年3月

社団法人 全国行政相談委員連合協議会

会長 鎌田 理次郎

 

 

 

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