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あとがき

 

私の専門は魚類生態学でサンゴ礁生態学者でありませんがこのシンポジウムに参加して、幅広い分野についての内容の深い講演、および活発な討論を通して多くのことを学ぶことができました。発表は質の高い印象的なものが多くこのシンポジウムは非常に有意義なものとなりました。

現在、私はサンゴ礁を身近に感じるハワイ大学海洋生態分野で研究をしています。サンゴ礁生態系は熱帯雨林生態系とともに多くの生物が共存しており地球上で最も多種・多様な複雑な生態系が営まれています。

このシンポジウムを通して、サンゴ礁生態系に対するこれまでの自分の理解が表面的な部分もあったと感じられ、この問題に対する認識を新たにすることができ、有益な勉強の機会となりました。サンゴ礁生態系の研究は現場での観察や体系的知識から研究所での実験研究へと移行段階と考えられます。

会議の中でストレスという言葉が頻用されましたがサンゴ礁は、周囲環境からのストレスや変動に敏感に反応し、褐虫藻の量的減少等によって白化現象が引きおこされます。私は生物の環境適応や再生の研究の中で魚のストレスヘの反応について研究してきたので、サンゴのストレスに対する反応の背景、機構、生理学、生態化学等に非常に関心や興味があります。今回の会議ではこれらに対する十分な説明、討議がなされたと考えます。

海洋科学技術センターのプログラムによると会議の主旨はサンゴの現状と将来予測を明らかにすることでありましたが、会議を通してこの目標は十分達成されたと考えます。

最後に、本会議の主催である海洋科学技術センター、後援の科学技術庁、日本財団に感謝の意を表します。

 

平成12年2月23日 閉会挨拶要旨

ハワイ大学地球学部

教授 平野哲也

 

 

 

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