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この実験は実際の氷片干渉に最も近く、干渉の実験の中で基本的なものである。得られる荷重はFtotalそのものであり、Fice、Fhydro、Finertia1、Finertia2の全ての荷重成分が含まれる。

2) 空気中での氷片流し込み実験

水中での氷片流し込み実験と同一の条件において、空気中で滑り台を使って模型氷の氷片を模型プロペラに衝突させ、トルク、スラスト、スピンドルトルク等の変化を計測する。水中での実験と比較すると、流体力および付加質量による慣性力が働かない。このため、得られる荷重はFtotalからFhydroとFinertia2の2つの荷重成分を引いたFice + Finertia1と考えることができる。

3) 氷片によるブロッケージ実験

模型氷片をクランプして作動しているプロペラ翼直前に置き、氷片をプロペラに押しつけて、翼によって氷が削り取られた後、この状態でのトルク、スラスト、スピンドルトルク等の変化を計測した。氷との衝突がないことから、得られる荷重はFhydro成分のみと考えることができる。実際には氷片の移動がないため、氷片表面で境界層が発達し、 水中での氷片流し込み実験とは流場条件がやや異なるが、近似的にこれをFhydro成分とした。

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Fig.2 氷強度による各荷重成分の変化

Table 1 各実験に含まれる荷重成分

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*variable

Table 1は、この3種類の実験により得られる荷重に含まれる荷重成分を整理したものであり、各実験による計測荷重に含まれる荷重成分を○印で表す。FhydroとFinertia2の分離は可能である。FiceとFinertia1の分離は、水中及び空気中での氷片流し込み実験において、氷強度を変化させることにより求めた。Fig.2の概念図に示すように、4つの荷重成分のうち氷強度の関数である成分はFiceのみと考えられるため、氷強度ゼロでの荷重、つまりFhydro + Finertia1 + Finertia2の値を外挿により求め、Ftitalを分離することが可能となる。

 

 

 

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