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4.5 自主分離通航方式の利用状況

(1) 自主分離通航方式の利用状況

自主分離通航方式の利用状況について調査した結果を表4.6に示す。表の上段は度数を示し、下段は各船積(外航船舶、内航船舶(含むフェリー)、漁船)別に必要性に関する割合(%)を示している。すなわち、外航船舶の必要性の割合は各水域別の外航船舶のサンプル数を母数として計算している。また、表中の全船対象とは外航、内航、漁船などすべての船舶を対象とした場合の結果を示している。

また、全船舶を対象として海域別にみた場合の利用状況(割合)を図4.6に示す。

図より“利用している”および“状況により利用している”という両回答をみた場合では剣埼沖、洲崎沖、日ノ御崎沖の設定水域で必要性とともに高い結果となった。特に剣埼沖については船舶交通が非常に輻輳する海域でもあり、その回答率は他の海域に比較して高い結果となった(86%)。その他の設定水域については“利用していない”という意見が約半数近くみられ、とくに風早埼沖、神子元島沖、大王埼沖、潮岬沖、市江崎沖においては外航船舶から“利用していない”という意見が多くみられた。

深水深航路については利用目的が限られるため内航船舶の利用状況は低いが、他の海域についてはおよそ5割を超え剣埼沖では7割を超える結果となった。なお、内航船舶において“利用している”、“状況により利用している”の回答の約9割は500GT以上の船舶からのものであった。

先に示したように分離通航の必要性が高いにもかかわらず、その利用状況が低い結果となった背景には、近年の船舶の大型化や速力の増加、船種の多様化等に伴って、自主分離通航方式を設定した当時の船舶航行経路と現状との間に相違する点が出てきているものと考えられる。

なお、“利用していない”という意見が多くみられた風早埼沖、神子元島沖、大王埼沖、潮岬沖、市江埼沖についてその理由を解析したところ図4.7のような結果を得た。図より各水域とも“航行水域でない”および“通航路内で行き会う船が多い”という意見で約7〜8割を占めていることがわかる。

 

 

 

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