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資料6

 

航法の黄金時代の落とし穴

Langhorne Bond

Former US FAA Administrator

 

I 航法システムの黄金時代か?

 

私は6月にViennaでのATCA会議で我々は航法の黄金時代にいると話した。

おそらくLondon School of Economicsの私の短期修習生は理想的な見通しを私に与えるであろう。私の楽天主義はGPS、ロラン―C、DME、ILS、MLS、それに慣性航法システム等の航法援助装置の優れた配備に基づいている。これらの高精度測位システムは原子時計にバックアップされメーター以下の精度と正確ではないものの谷や建物の高さを測ることもできる。これらのシステムは現実に弱点の無い国家の保安と経済成長を確実にするものである。

残念ながら人民、政治それに制度上の利害関係が障害となっている。我々はまだ黄金時代にはいたっていない。GPSが軍事システムとして1970年代に実用化された時黄金時代の最初のかすかな光明を得た。衛星による測位とタイミングの民間における利用価値が直ちに明白となった。25年遅れて航空、航海、移動体の航法、測量、追尾システム、レクレーショナル サービス、通信用タイミング等の民生利用としてGPSを使用し始めた。

ここが問題である、我々は船外に飛び出した。

米国政府と多くの他の機関は衛星サービスは完全であると言った。既存のシステムはガラクタの山に置くべし。これは大きな膨大な誤りであった。もし衛星ひとつだけに頼るなら航空、航海、通信、金融の壊滅、電源供給の遮断、軍やテロリストに対する弱点により独立統治の崩壊等の災害が発生するリスクの公算が高くなる。このリスクは利用国だけでなくシステムを供給する米国のような国にとっても拡大し将来的には欧州のGalileoにも波及する。

 

II GNSSの妨害に影響されやすい性質

 

衛星の測位とタイミング信号は高さ11,000マイルの中高度軌道から送られてくる。衛星は太陽光発電で給電され一般家庭のコードレスホーン程度の1ワットの電力で送信されている。地球上での受信電力は1-16ワットである。GPS受信機はこの信号で十分である。

しかし、この極端に弱い信号レベルは大変妨害を受けやすく運用が遮断される。気象環境や磁気嵐の予期せぬ妨害は通常よく見られる妨害である。これは管理できると思われる。

故意に行われる妨害はもっと重大である。たとえば、1997年のモスクワ エアーショーのブースで展示していた簡単な5ワットのノイズジャマーは200Kmの範囲でGPSの信号を潰すことができる。

 

 

 

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