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第3章 シミュレーション、船舶通航データ収集、解析

 

3.1 新方式レーダーのシミュレーションによる事前検討

新方式レーダーをシミュレーションにより検討するにあたり、通常の一般通航船舶のデータから、高速船の通航とみなしたデータ解析が可能かどうかの事前検討を行った。

表3.1は一般船舶と高速船の想定データ、図3.1は一般船舶と高速船の航跡図で、新方式レーダーのシミュレーションによる検討を行うことに、問題が無いことを示したものである。

高速船データは新方式レーダーで得られるデータを想定している。例えば、昨年度報告書の第2章に記載されている高速船の旋回性能の事例を参考にして航海速力50ノット(約25.72m/秒)でレーダー局の真北500mの地点からレーダー局の位置を中心位置として旋回半径500mで時計周りで旋回した場合に新方式レーダーアンテナの回転は1分間に20回転に相当するためその10回転で収集したデータは表3.1のとおりとなる。

一般船データは既存VTSのレーダーで得られるデータを想定している。この場合は、航海速力25ノット(約12.86m/秒)で前記と同様に旋回した場合とし既存VTSのレーダーアンテナの回転は1分間に10回転に相当するためその10回転で収集されるデータも表3.1のとおりとなる。

既存VTSシステムのレーダーによる物標の追尾処理ではレーダーアンテナ1回転毎に得られるレーダー映像の位置の関係が前回観測して得たレーダー映像の位置と今回観測して得たレーダー映像の位置との位置差が追尾パラメータ(定数)と比較して小さい場合に物標の映像と判断してそのレーダー映像は追尾されている。

レーダーアンテナ1回転毎に得られるレーダー映像の位置差とレーダーアンテナ1回転の時間と追尾されている物標の速力との関係で前記位置差の追尾パラメータを固定する(定数とする)とレーダーアンテナ1回転の時間と追尾されている物標の速力は反比例の関係となる。

従って、今後の新方式レーダーによる物標の追尾処理でレーダーアンテナ1回転の時間は既存の約6秒の1/2倍の約3秒となるため追尾可能な目標の最高速力は既存の約35ノットの2倍の約70ノットとなる。すなわち、一般船舶と高速船の航跡図は図3.1のとおりとなる。なお、一般船舶の旋回時の回頭率が低くなり過ぎるが一般船舶の追尾実績はあるのでこのシミュレーションでは問題にしなくともよいと考えられる。

 

 

 

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