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第2章 新方式レーダー設計上の問題点の検討

 

背中合わせにする2面のアンテナが同一規格であっても、同一物標から得られるレーダー映像には微妙な差があることは、昨年度の報告書第5章で指摘したとおりである。これは、同一規格のアンテナといっても製作上で若干の機械的誤差が生じること、送信周波数が両者で異なること、およびレーダー映像量子化の機差があることから、表示される映像の位置、大きさに若干の差異を生ずるのである。このため、2面のアンテナによる映像出力を交互に表示すると、物標の位置、大きさが交互に変動することになり、従来の追尾技術では追尾結果が不安定になるか、若しくは追尾不能になる恐れがある。

(図中の2面のアンテナで受信レベル差の有無などの条件1]、2]、3]の3つは以下共通の処理条件となるが、1]はシステム運用での理想的な条件、2]はシステム運用での現実的な条件、3]はレーダーの障害時等で一時的であるがシステム運用でのほぼ最悪となる条件としている)

この状況を示したのが図2で、受信レベル差によるエコーの形状(大きさ)と位置の差を図2.1に、周波数の違いによるスロットアンテナのビームの傾きを図2.2に示した。なお、これら誤差の除去または低減はシステムの調整および保守用パラメータ(定数)の設定によって対策することが基本である。

 

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図2 2面のアンテナの映像の位置と大きさに若干の差異を生ずることを示した図

 

 

 

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