日本財団 図書館


II 調査研究結果

 

第1章 新方式レーダーシステムの検討

 

1.1 新方式レーダーシステムの基本構想

VTSシステムで従来想定されていた船舶の速度が2倍程度にまで高速化した場合に、これまでと同程度の監視をレーダーで続けるとすれば、最も考えやすいのはレーダーアンテナの回転数を上げて、物標の映像データの取得頻度を増大させることである。しかし、レーダーに求められる最大探知能力を劣化させないためには、送信マグネトロンの定格を増強しなければならなくなる。これを解決する手段として考えられたのが、2台のレーダーを使用し、アンテナの回転数はそのままにしてそれぞれのアンテナの向きを180°ずらす方式である。具体的には2面のアンテナを背中合わせにした一体構造として回転させる。システムの基本構想は次の通りである。

 

(1) レーダーアンテナ

従来と同一規格のアンテナ2面を背中合わせにして一体構造とし、従来どおり毎分10回転させる。

 

(2) レーダー装置系

2系統のレーダーを独立で並列運転する。

 

(3) 量子化装置系

2系統のレーダーのビデオ出力を、系統ごとにビデオ処理した後、3秒周期で交互に並べて追尾処理をする。

 

(4) 映像合成装置系

追尾処理をした映像を3秒周期で合成処理する。現在のレビューファイル容量を倍に増大させる。

 

(5) レーダー運用卓系

3秒周期で処理をする。

 

(6) 伝送系

伝送速度は20M(現実的には100M)ビット/秒の容量を持つLANとする。

 

(7) 各処理装置の性能

量子化装置系、映像合成装置系、レーダー運用卓系の各情報処理装置は、現状の処理性能の倍とする。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION