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3. Seabat8000シリーズの実海域における測深精度と分解能について

SEABAT8000シリーズのシステムは1.25cmの測深レンジ分解能を有します。

通常、レンジ分解能は送信パルスの長さにより決定されますが、8000シリーズは送信パルス幅の調整機能を持ち(4μs〜208μs)、初期設定では5cm長相当のパルス幅(75μs)となっています。

RESON社特許の処理技術を用いた海底検出アルゴリズムにより、レンジ分解能を1.25cmに向上させています。

1.25cmのレンジ分解能は全ビームにわたって共通ですが、精度はビームおよび水深により異なります。

最終的に計算されたXYZデータの精度は各センサーの組み合わせの相互作用により決定されますので、あるシステムの精度を判断するには、マルチビーム測深機だけではなく、システム全体でのあらゆる誤差や精度劣化を考慮に入れなければなりません。

典型的なセンサーとシステムの構成は次の通りです。

・ディファレンシャルGPS

・動揺センサー

・船首方位センサー

・水中音速度計

・マルチビーム音響測深機

・潮汐入力

・データ収録ソフトウェア

・データ編集/処理ソフトウェア

最終的なXYZデータポイントを計算する際、動揺センサーやディファレンシャルGPSなどのサブシステムに対し、マルチビーム測深機の精度が与える影響はあまり大きくありません。(おそらく、システム全体の誤差の10%程度と思われます)

マルチビーム測深機単体でのレンジ精度は、社内の自主的なテストにより立証されています。

精度は水深と横幅により変化することを、次の12mと31mの2通りの水深における8101型の標準偏差のグラフが示しています。測深ビームの大部分で標準偏差が5cm以下であることがわかります。測深ビームの中心部分で標準偏差が大きくなっているのは、振幅検出の利用が卓越しているからであり、左右15゚ずつあたりで振幅と位相の組み合わせが利用されると、標準偏差は急激に小さくなります。(精度が向上します)

下記のデータは、10m級の測量艇に取り付けられたSeabat8101型ナローマルチビーム測深機を用いて、取得されました。TSS社製DMS-05型動揺センサーがSeabat6042型データ収録システムとインターフェイスされました。KVH社のマグネティックコンパスとトリンブル社のディファレンシャルGPSも使用されました。

水中音速度プロファイルはAML社のSVPlus型音速度センサーを用いて取得し、6042型により音線屈折補正されました。

データは、サンタバーバラヨットハーバー沖の水深12mと31mの2カ所で取得し、デンマーク水路部のMr. Jorgen Eegにより作られた、マルチビームデータ性能を統計的に分析するソフトウェアを用いて処理されました。

 

 

 

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