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(d)カメラ・フィルムによる誤差

今回計測に用いたスチルカメラは、写真計測専用カメラではなかったため、撮影時のフィルムの圧着状態が悪かった可能性がある。また、計測用の枠を同時に写し込むようになっていないため、フィルムの延びを確認することができなかった。そのため、フィルムのゆがみ、延び等を原因とする誤差が発生している可能性がある。通常の写真測量ではこの誤差は補正可能であるが、今回の計測には、少なからず影響していると考えられる。

 

(e)デジタルデータ化に伴う誤差

撮影した写真をデジタルデータ化するにあたり、写真をスキャナーで読みとる時に、読みとり角のズレによるデータの誤差が発生する可能性がある。また、デジタルデータ化した画像を画面上でポイント指定し、解析を進めていくため、ポイント指定時にピクセル単位の誤差が発生する。しかしながら、高精度のドラム式スキャナーを用いて読み込む処理を行っており、1ピクセル分のズレは約2.6mmであるため、この影響はさほど大きくない。

 

(3)GPSデータとGPSデータから算出したカメラ位置座標

調査ユニットの計測では、カメラの位置はGPSデータとセンサーデータから算出する。ここでは、画像データから算出したカメラの位置との比較をするために以下の手順でデータを求めた。

1]測量データの座標系

基準点はGPSで観測し、GPS座標系(WGS84)をわが国における平面直角座標系に変換した。また、高さの基準は神戸地域の水準基準面(KP)として取り扱った。

2]データ処理方法

計測機器のデータ取り込み周期は以下のとおりである。

・GPS位置データ:1Hz

・ロール、ピッチ、ヒーブのデータ:約17Hz※)

・方位データ:15Hz※)

※)Hypack(SEABAT制御ソフトウェアMax20Hz)の設定による。

先に述べたように、GPSデータは、1Hz間隔でシステムに取り込まれており、カメラのシャッターもUTC時間(1pps信号)に合わせて切られるが、シャッターがおりるまでの時間遅れがあるため、写真撮影時の船舶の位置(0.11sec後のカメラの位置)をGPSの位置データから算定することが必要となる。GPSの位置データに関しては、2点を直線近似して、0.110/1.0だけ移動した位置を求める方法でデータを整理し、シャッター位置の座標を算出した。

 

 

 

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