5. 水中構造物検査画像処理のシミュレーション
─調査ユニット実証実験の実施および実験データを用いたデータインテグレーションソフトウェアのシミュレーション─
調査ユニットの実用化においては、ハードウェアである構成機器だけでなく、気中部のデータと水中部のデータを接合するデータインテグレーションソフトウェア1も重要な開発要素である。データインテグレーションソフトウェア(以後「DIS」と言う。)については、平成10年度の研究成果としてプロトタイプを作成した。調査ユニットの実機システムについて確認を行うべく実海域における実証実験を実施し、実際の計測データを用いてDISにより気中部と水中部を結合して構造物の3次元計測データを作成するシミュレーションを実施した。
ここでは、実海域実験時の実験データを使用したDISのシミュレーション結果について述べる。
5.1 実証実験によるデータ取得
実証実験では、実機仕様に基づいて構成された調査ユニットの計測機器を用いて船上からのデータ取得を行い、その計測データを用いてDISによるシミュレーション(3次元計測データの作成)を実施し、その機能を検証した。
5.2 実験概要
実験では、スチルカメラとデジタルカメラの両方を使用して、画像データを取得するとともに、マルチビーム超音波測深機で水中部のデータを取得した。図5.2.1に実験システム構成図を示す。
また、海上実験で問題となったカメラの振動対策として、アルミ製のカメラ固定金具を事前に製作し、超音波測深機システムの既存金具に取り付けた。さらに、使用したデジタルカメラは工業計測/医療計測用のカメラで、基本的に屋外用でないためプラスチック製の保護ケースに収めて使用した。金具およびカメラの取り付け状態を図5.2.2〜図5.2.4に示す。
1 データインテグレーションソフトウェア:
平成10年度報告書まで、気中部データと水中部データの融合に「データフュージョン」という用語を用いていたが、委員会において「フュージョン」よりも「インテグレーション」の方が適切との指摘があったため、今後は「データインテグレーション」を用いる。