4. 港湾施設・水域調査ユニットの実用機概要
4.1 概要
調査ユニットのシステムを構成する要素について、それぞれ実際のデータ取得実験および調査検討作業により、実用レベルの機能の検証を進めてきた。
本章では、現在使用可能な機器を用いた調査ユニット実用機の概念と、その実用機の機能、機器構成の概要について述べる。
4.2 調査ユニットの実機構成
3.1章に述べたように、調査ユニットは、現状調査に基づいた要求機能を考慮し、特に復旧断面図の作成を念頭に置いた計測作業を実現させる計測機器として、震災等の災害時に、港湾施設の被害状況を海上(船舶)から、水中部と気中部を、同時に3次元の形状として計測するためのシステムとして設計する。
この要求機能を満足させるべく、以下の2つのデータを用いて、港湾施設の海底から陸上施設に至るまでの3次元測量データを作成する。
・港湾施設の水中部の形状:マルチビーム超音波測深機(扇形に音波を発信して、その伝達時問から水深データを得るソナーシステム)により測定したデータ(メッシュで表現された3次元の形状データ)
・港湾施設の気中部の形状:デジタルステレオカメラを用いた写真計測のデータ(画像データを処理することにより3次元形状データを作成)
これらのデータは各々のセンサーから独自にアウトプットされたものであるため、最終的に水中部のデータと気中部のデータをっなぎ合わせて一体化したデータを作成する。
従って、調査ユニットは、マルチビーム超音波測深機システムと、写真計測システムからなり、さらに、水中部の状況を確認可能なシステムとして、小型ROVシステムも採用する。
システムの主要構成機器は、以下のとおりである。
・自船位置計測装置(GPS)
・動揺補正装置
・マルチビーム超音波測深機
・写真測量装置(デジタルカメラ)
・水中部画像視認装置(ROV)
・データ処理装置
これらの構成機器は、組立可能な取り付け金具に設置するものとし、現地への搬送を可能とする。調査ユニットのシステム概要を、図4.2.1に示す。