3. 港湾施設・水域調査ユニットの要開発機器の開発設計
3.1 調査ユニットの要求機能
調査ユニットは、災害発生時に被災状況等の調査を効率的に行うことができ、また平常時においてもより有効に活用される機能が求められる。そのため、阪神・淡路大震災をはじめとする過去の災害時に港湾施設・水域に対して行われた調査・作業の内容や、港湾管理者が普段行っている平常時の管理・検査項目等の実際について調査し、非常時、平常時のそれぞれの場面で必要とされる機能を明らかにする必要があった。そこで、全国124団体の自治体、港湾管理者、企業へのヒアリング調査と、港湾管理者、民間港湾施設所有者、港湾建設局、海洋土木会社等に対するアンケート調査を行った。
アンケート調査では、まず非常時、平常時の調査・作業項目について、阪神・淡路大震災の復旧作業計画立案に携わった担当者、東京近郊の港湾の管理担当者の方を対象にヒアリング調査を行った。次に、全国各地の港湾管理者、民間港湾施設所有者、港湾建設局、海洋土木会社等に対して、アンケートを発送し、港湾施設の管理状況や水域の調査状況、必要な機能等について調査を行った。
これらの調査結果から、現状を分析し、実際の港湾施設に係わっている港湾管理者等が求めている機能等を把握し、これに基づき本調査ユニットの構成、機能等を明らかにした。
(「港湾施設・水域調査ユニット実用化の研究」平成9年度報告書 参照)
3.1.1 調査ユニットに要求される機能
(1)非常時の機能
調査ユニットの非常時機能については、被災後の水中部の状態調査および施設全体の変位についての測量に関する機能を中心に、以下のような機能が求められていることが明らかとなった。
1]被害状況調査に関する機能
・水中部の被災状況を何らかの形で把握することができる。
・被災した施設の測量を行うことができ、変位量を図示することが可能である。被災後の復旧に向けて、復旧断面図を作成するにあたり、被災地の災害状況を調査するとともに、施設の3次元測量を同時に行える機能が必要である。
・波、うねり等に強く、被災箇所の調査を、離れた位置から行うことができる。崩壊の危険がある陸上から離れた位置からの計測が可能で、台風後のうねりが残る、ある程度荒れた海上からでも調査が可能である。