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E2.3 減揺タンク

アンチロールタンクART(Anti-roll Tank)と呼ばれる減揺タンクで、通常船舶に対するものは図E2.3に示すU字管型である。これは、浮体本体のRoll運動に対して、減揺タンクのタンク水運動によって発生するモーメントが位相差を持って作用するため、Rol運動に対する動揺制御効果が発揮される。タンク水運動の位相をRollに対して90°ずらせば、減衰モーメントとして作用することとなる。位相を調整するためには、何らかのタンク水運動に対する減衰調整機構が必要である。U字管型の場合は通常、オリフィスや抵抗板が使われる。

本マニュアルで採用した矩形型タンクは、基本的にはU字管型と同じ効果を期待するものである。U字管型の場合、タンク水運動の固有周期が比較的長いのに対して、矩形型は固有周期を短周期域にすることができる。本研究の対象とする浮体構造物は比較的短いRoll固有周期を有しているため、これに対する減揺タンクは必然的に矩形型が適することになる。

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減衰cがある場合は、共振点の振幅のピークを低くする効果を発揮する。c=0の場合のときピークは無限に大きく、c=∞でまた無限大となる。減衰cが比較的大きいときは、共振点の振幅のピークが低くなる。比較的cが小さいときは共振点ではかなり応答が小さくなり、その両側の周波数にそれぞれピークがある二重振子特有の応答を表す。これらの中間に平均的にピークが低くなる最適な減衰cの値が存在する。

 

 

 

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