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藤蓋?此μミ(ふじさきみつお・しげる) 夫妻

(昭和7.2.20生・昭和8.10.9生・岩手県岩手郡滝沢村)

 

夫妻は共に教職員という安定した環境にあったが、昭和55年に職を辞し私財を投じて民間社会教育施設を開設、以来20年間にわたり非行少年少女の更生、登校拒否児らの一時預り、復学等に寄与されている。

 

昭和55年4月、私財を投じて岩手県滝沢村に、青少年の自然教育と非行少年少女らの更生を目的とする民間社会教育施設「青少年の館」を開設した。JR田沢湖線小岩井駅前の1.5ヘクタール(約1万5千m2)の敷地に木造二階建ての図書館、宿泊研修施設(定員44名)、キャンプ場などを整備、開設して20年目となる。

 

開設当初から盛岡家庭裁判所の経過観察者(少年院送致か保護観察処分にするか決まらない少年少女)の受け入れ、岩手県内や首都圏などからの登校拒否生徒、社会適応に苦しむ青年らを受け入れて指導、社会に送り出してきた。3日間位の短期から2年半にも及ぶ長期研修生など、これまでに約60名を指導している。

また、登校拒否の児童生徒を抱える親の電話相談や、日帰りカウンセリングも随時行っている。

 

〔指導の具体例〕

(1) 千葉県から登校拒否の小学生を預かり、地元の小学校に通わせた。その後、この小学生は大学まで進んだ。

(2) シンナー吸引の暴走族少年を預かり、更生させた。

(3) ヤクザ志願の番長に生きる目標を与えた。この少年は埼玉県内で美容院経営者として自立した。

(4) 職場環境になじめなかった青年を預かり、社会人として独り立ちさせた。

 

宿泊研修生は有料で受け入れているが、その殆どは人伝えに聞いて各地から突然駆け込むことが多く、収入は不安定である。夫妻の生活には年金を充て、青少年の館の運営維持にかかる赤字は、数年ごとに他地域に所有する土地を切り売りして凌いでいる。

夫妻は、非行少年少女、登校拒否の児童生徒らに私財を投げうって生きる希望を与えてきた。特に宣伝もしないため「ロコミ」が中心で、扱ったケースは多くはないが、子供たちの可能性を信じて1人、また1人と地道に生きる自信を与え、社会に送り出している。

(岩手日報社推薦)

 

 

 

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