日本郵船(株)所属 LNG船「AMAN HAKATA」乗組員
(代表 渡邉隆彦・広島県福山市)
マレーシア・カリマンタン島のビントゥール港に向け航行中の本船乗組員は、平成11年2月4日午後フィリピン・ルソン島沖合で、助けを求め漂流していた小型漁船を発見するや、急行して迅速な救助活動を行い、フィリピン人乗組員4名全員を無事救助された。
日本郵船(株)所属のLNG船「AMAN HAKATA」(16,399トン、渡邉隆彦船長以下乗組員28名)は、博多港からマレーシアのビントゥール港に向け航行中であった。
2月4日午後1時15分、フィリピン・ルソン島西方沖合約50マイル(約80km)の海上で、航海当直の二等航海士が、乗組員が黄色い旗を振って助けを求め、漂流している小型漁船を発見した。船長の救助指示で本船は直ちに進路を変え、漁船の漂流海域に急行した。
当時の海面状態はうねりが強く、さらに沈みかけた遭難漁船のマストが辛うじて見え隠れする状態であったため、本船からの発見は容易ではなかったが、総員救助配置につき風上から漁船の20メートル付近まで徐々に接近した。
機関を停止し救助用の浮き輪等を用意、パイロットラダーを降ろしたところ、それまで漁船上で助けを求めていた乗組員が次々と本船に向かって泳ぎ出した。本船乗組員は泳ぎ着いた遭難者を船内に収容、泳ぐ力の尽きていた遭難者には浮き輪を投げて掴まらせ、引き寄せて船内に引き揚げた。
うねりのため本船が両舷30度にも揺れる中での困難な救助作業であったが、迅速機敏な活動により、遭難漁船のフィリピン人乗組員4名全員を無事救助した。
救助された乗組員は、機関不良等から航行不能となり浸水した漁船で漂流、4日間飲まず食わずでいたため衰弱が激しく、中には自分のシャツを食べていた者もいたとのことであった。
このため救助後も怪我人に対して応急手当を施すなど適切な処置を講じた後、同日午後8時フィリピン・スービック湾沖で、救助した4名全員をフィリピン海軍に託し、本船はマレーシア・ビントゥール港に向け航海を再開した。
遭難者を無事救助できたのは、船長をはじめ本船乗組員の適切な見張りと判断、迅速な救助活動によるところが大きい。
((社)日本船主協会推薦)