本日は、常陸宮殿下のご臨席を仰ぎ、日本顕彰会による日本財団賞の贈呈式を行いましたところ、皆様おいで下さいまして、ほんとうにありがとうございました。
この賞は昭和46年に創設され、本年まで29年間、社会に灯りをかかげて来て下さった方々、延べ11458人に、感謝の気持ちを表して賞をお贈りして来たものです。
しかし、社会と人間との関係は、常にあたたかく流動的に変化するものでありますので、今年から賞の姿を一新することにいたしました。
私は一人の作家として、昔から社会の眼にふれないところで働いて下さる方々のことを、何かと世間に広く知って頂きたいという素朴な思いを持っておりました。土木の勉強をして、ダムやトンネルを作る方々、遠い途上国にあって医療に尽くされる日本人修道女の方々、などを小説に書いてきたのも、そんな思いがあったからです。
しかし今ここにこうして、長年人のために働いて来て下さった方々に、直接お礼を申し上げられる機会を得ましたことは、実に大きな喜びです。