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更にもっと重要なことは、大体の国では一般人は環境問題についてもっと深く理解しているし、もっと関心をもっているという事実である。国連総会は、1989年の会期中に、特別にこのような問題を検討する予定である。そして現在、大変多くの国が率先して環境問題に取り組んでいる。また、ここではイデオロギーと楽観主義が頭角を表わすことができる。新しい国連海洋法条約それ自体が、環境問題関連海洋法という見地から、恐らくもっとも注目すべき文書の一つであるという事実は今、現実化されつつある。回顧してみると、新しい条約が他の取締対策より環境に関して本当に効果的であるであろうか。それとも皮肉的な考え方を台無しにすることから、時代を先取りするイデオロギーに我々の心を開くような、この豊かな法典でもっと利益を発見していくのだろうか。少なくとも新しい国連海洋法条約は、今日現存している、海洋環境の保護のために、多分最高位の世界的に運用可能な行政指導であろうし、それで、さらに広範になった地球的な環境保護の青写真を見せてくれるだろう。

結果として、我々は恐らく、少なくとも現代世界が、今日新しい法律改革と地球的な行動、両方とも見込みがあるのみならず遡及されるべき要求であることを実感している。我々はもう慎重な法律専門家によって正式に調印され、実行される条約で拘束する時代に置かれてはいないのである。世界的な環境問題に寄与するためには、充分な柔軟性を備え、変転する要求と利害関係を理解できる法律専門家をもって、海洋制度を確立させるべきである。正しい方向に導くならば、‘ガイドライン’や‘柔軟な’法律の形態に聞違いはない。一応それを成立させておけば、我々は、たとえそれが確定的事項であろうとも、もっと特殊な法典が必要なのかどうかを決めることができる。従ってコンクリートより恐らく石膏で形成されるべきなのである。海も完全に服従させることが出来ないのに、そのルールを完全に固定化させることが出来るのであろうか。

(了)

 

 

 

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