D 全体会(第2部)
市民:
4都市とも観光政策に大変強い意志で取り組んでいるがこの観光政策について、いわゆる観光業界だけでなく、他の産業や市民の合意を得るための努力・取り組みについてお聞きしたい。
ウォーカー氏(イギリス):
ウインダミアに関していえば、行政側の計画に住民が全面的に賛成してくれる状況が必要で、そのために討論や会議を通して、密接な関係をもっている。何より住民とのスムーズで確実なコミュニケーションが大切である。
ドミンゲス氏(スペイン):
ビゴでは、産業間の問題は起きていない。なぜなら観光業も他の産業も、ともに地場産業であり、お互いの協力が全体の産業を支えているからである。すばらしい環境があるからこそ産業が成り立つのであるから、環境保全については法律等の整備によって、非常に深く取り組んでいる。
ミッデルホフ氏(オランダ):
スネークでもそのような問題がないとはいえないが、町は半分は市民のため、半分は観光客のためにあるから、他の産業にとっても、まちのプロモーションには非常に関心をもっている。各人が互いに情報を共有し、協力しあうことが肝要である。
シュテムスホーン氏(ドイツ):
ウルムでは、数年前まで観光はそれほど盛んではなく、まず観光客誘致のためには市街地の交通渋滞を改善すべきと考えた。しかし、それは単に観光のためだけでなく、住民や産業の発展のためにも必要なことであった。具体的には交通量を中心街から外側へ流出させることだった。それは決して簡単ではなかった。なぜなら、顧客が店頭まで車を乗り付けることを、商店主が望んでいたからである。そこで、まず、商店主たちの説得に努力した。今後もこのように話合いをして決定していきたいと考えている。
市民:
観光客の増加により間接的に農業や漁業等の勉の産業も発展するという、いわゆる“コミュニティー経済(地域経済)”の考え方や仕組みが各々の地域で確立されているか?
ミッデルホフ氏(オランダ):
スネークに関していえば、いうまでもなくそうした考え方は確立されている。住民は、観光は様々な分野にとって非常に利益が多いということを理解している。