下水処理では、特に海岸と下水の関係が大問題となっており、たくさんの予算をかけて海に汚水が流出しないようにしている。また、農業用の化学肥料の湖への流入も大きな問題となっており厳しい監視の必要な地域がある。
市民:
黒部でもガーデニングに関する様々な計画があるがイギリスにおける市民運動の状況について聞かせてほしい。
ウォーカー氏(イギリス):
イギリスでは庭に関しては伝統があり、家を建てるときには庭も一緒に設計する程である。ガーデニングは男女問わず行うが、社会情勢が変わり、そこに費やす時間がなくなってきた。それでも庭づくりはまだまだ人気があり、町や村ではベストガーデンコンテストも開催され、いい庭づくりを奨励している。日本のガーデニングではイギリスの庭に対する興味が増えているとのことだが、日本では時間的に余裕がないのかもしれない。
市民:
花に対する接し方、楽しみ方に関する学校教育の状況は?
ウォーカー氏(イギリス):
イギリスでは学校で花に関する教育はなく、植物に関して理科の一部で学習する程度だ。将来的には、そのような教育が行われるべきだと考えている。
イギリスでは、自分の庭はもちろん、隣の家との境目、道路との境目もきれいにする習慣がある。我々には公共の場もきれいにしたいという考えがある。行政が清掃をすることもあるが、行政の維持・管理費用の不足により住民たち自らがきれいにしようと立ち上がった例もあり、まちの景観保全に住民の果たす役割は大変大きい。
市民:
ウルムは戦後の廃墟から見事に復興したが、復興に際して景観の保全という意味でこだわったポリシーがあれば聞きたい。
シュテムスホーン氏(ドイツ):
戦後、新しい都市計画のアイディアがつくり出された、それは、公園と緑が建物と建物の間に、つまり、まちの中になければならないというものである。10〜30年程前から伝統的なガーデニングの考えが新しいまちづくりにも取り入れられている。これに基づいて、公園や緑の部分を公共の場に再計画したり、既存のものを改善したりもしている。昨年は道路などに花や植物を植えるプロジェクトを実行した。行政側がこうした計画を実行することで住民側に見本を示したいと考えている。