日本財団 図書館


2. 事業報告

 

(1) 海外招請者プレゼンテーション

1]ハンガリー

<地理>

温泉資源に恵まれたハンガリーでの温泉活用の歴史は古い。東洋と西洋の中間に広がるカラカチア山脈に位置し、広さ93km2の国土にトルコ風温泉浴場や西洋風治療施設が多数存在する。その中でも、首都ブダペストはハンガリー随一の温泉都市であり、古くから市民と観光客と患者がレジャーや治療に温泉を活用してきた。

<歴史>

古くはローマ帝国時代より温泉施設が設けられており、当時のものは市内に22カ所残されている。1172年には、世界初の温泉病院がマルタに開業している。15世紀から16世紀にかけてハンガリーはトルコの占領下に入ったが、その間に建設された数カ所のトルコ風の温泉浴場が現在も政府の補助を受けて保全されている。

<温泉>

現在では、全国に400以上の温泉ホテルがある。そのうち40ほどの施設が人口約200万の首都ブダペストにあり、いわゆる「スパ」と呼ばれるものは14箇所、温泉付のスパホテルは5箇所を数える。宿泊機能を持たないスパには3種類あり、治療専門のスパ、健康維持とレジャーのためのスパ、そしてより高級な会員制のスパに分けられる。スパホテルは厚生大臣の認可を受けなければならず、医師や医療スタッフなどの専門家が3名以上常駐していることが義務づけられている。その他にも、世界の大手ホテルチェーンが数多くブダペストに開業しているが、ダンビウスホテルチェーンについては、年間平均滞在日数は13.2日であり、年間の稼働率は83%に達する。

ハンガリー国民は、1年間に2回の完全な温泉治療を無料で受ける権利を有しており、5人に1人は少なくとも1週間に1、2回、定期的に温泉を利用している。また、観光客のうち7人に1人は温泉利用を目的とした観光客であり、ドイツ、スイス、オーストリア、オランダなどからも多くの患者が治療のためにハンガリーを訪れる。オランダやオーストリアなどの海外の保険会社の中には、交通費を含む全ての費用を保障する制度を設けている会社もある。

<その他>

ハンガリーは文化豊かな国であり、ブダペストには2つのオペラ劇場、50の劇場をはじめ多くのコンサートホールが存在する。現在12のカジノがあるが、ハンガリーの新政府は2000年からこれらを減らす方針を打ち出している。最も大きな産業は化学工業であり、農業と観光業がそれに続く。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION