カザフスタン
(1) 一般事情
カザフスタン共和国は、北はロシア、東は中国・キルギス、南はウズベキスタンとそれぞれ国境を接し、南西部はカスピ海に面している。
同国は、ソ連邦を構成した15の共和国の一つで、1991年にカザフスタン共和国として独立している。
国土面積は、2,717,300km2(日本の7.19倍、旧ソ連邦の中でロシア連邦に次ぐ大きさ)、人口は1,580万人(97年末)であり、首都をアスタナ(人口30万人)におく。
民族はカザフ人(45.9%)、ロシア人(34.8%)、ウクライナ人(4.9%)、ドイツ人(3.2%)のほか、ウズベク人、タタール人、ウイグル人などから成る。
言語は、国家語はカザフ語、公用語はロシア語であり、宗教はイスラム教、ロシア正教などである。
西部はカスピ海沿岸低地とトウラン低地、中央部はカザフ小死火山地帯、北部は西シベリア低地で、東部と南東部にはアルタイ、タルバガタイ、ジュンガル・アラタウ、天山の山脈がそびえている。
気候は乾燥した厳しい大陸性気候である。
なお、通貨はテンゲ(1991年5月19日現在1ドル=118.47テンゲ)が使用されている。
カザフスタンの内政は、91年の独立以降一貫して急進的な経済改革等に取組んでいる。
なお、旧ソ連邦が同国に遺したセミパラチンスク旧核実験場放射能汚染とアラル海環境破壊という2つの大きな「負の遺産」は、何れも解決の目途が立たず、同国の発展に大きな障害となっている。
一方、外交ではロシアとの良好な関係維持、独立国家共同体(CIS)の枠内での協力、西欧諸国との経済改革支援等を通じた交流等が基本方針となっている。
カザフスタンの経済は、原油価格の下落やロシアの金融・経済危機の影響を受け悪化している。
また、歳入も税収不調、国営企業民営化の遅れにより伸び悩んでいる。
このため、98年の経済成長率は97年のプラス2.0%に対し、マイナス2.5%に低下している。
新首都(アスタナ)建設、石油・ガス・鉄鋼業での投資需要は強く、外貨の継続流入が経済発展の鍵となっている。
世界銀行の推定によると、1995年のカザフスタンの国民総生産(GNP)は、1993〜95年の平均価格で算定すると221億4,300万ドルとなり、国民1人当りでは、1,330ドルに相当する。