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ルーマニアの国内総生産(GDP)は、1980〜90年の期間に、実質で年平均0.5%の割合で増加しており、1990〜96年も同等の増加を記録している。

96年の成長率は4.5%となっているが、97年は6.6%の減少となっている。

農業部門(牧畜・林業を含む)は、1995年GDPの20.5%を寄与し、全労働人口の36.5%を雇用している。

主要作物は、小麦、大麦、とうもろこし、ポテト、甜菜、りんご、ぶどうなどである。

ワインの生産、畜産物・林産物・あし(製紙および繊維工業の原料)の栽培、魚類の養殖なども重要産業となっている。

政府の非集団農場政策により、1994年の初めには農地の46%が、旧地主またはその後継者に返還され、95年の初めにはルーマニアの農地の約80%が私有化されている。

工業部門(鉱業、製造業、建設業、電力・水道業を含む)は、1995年GDPの42.5%を寄与し、全労働人口の34.4%を雇用している。

世界銀行の推定によると、工業部門のGDPは1990〜95年の期間に年平均2.1%の割合で増加しており、95年は8.9%の成長率を記録している。

なお、97年8月に鉱業部門の大型リストラ計画の一環として、ルーマニア鉱業労働組合員21万人のうちの4万人が、余剰人員として自主退職している。

ルーマニアは、原油、天然ガス、褐炭、硬質石炭、塩、鉄鉱、ボーキサイト、銅鉱、鉛鉱、亜鉛鉱などの埋蔵がある。

陸上油田からの原油生産は、1980年代後半から減少傾向にあったが、90年代に入り再び増加しつつある。

海底油田からの原油生産は、90年に黒海のルーマニア水域で7基の海洋掘削機が稼働した結果、年間炭化水素生産全体の10%を占めている。

メタンガスの生産は、90年以降減少傾向にある。

ルーマニアの製造業は、主として冶金・機械工業、化学および木材加工業を基礎としているが、製造業の多くは、特に鉄鋼業は電力および原材料の不足により生産は伸び悩んでいる。

製造業の生産は、1980〜89年には年平均3.3%の成長を遂げていたが、90年は18.7%の減、91〜93年も引続き減少を示していたが、94〜95年は回復傾向にある。

ルーマニアにおけるエネルギー源は、主として石油、ガスおよび石炭であり、水力発電所も稼働している。

鉱物性燃料および油の輸入は、総輸入額の21.4%(95年)に達している。

ルーマニアの最初の原子力発電所(チェルナボーダ)は、96年末に操業開始しており、98年にはルーマニアの全エネルギーの10%を供給する予定である。

 

 

 

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