ブルガリア
(1) 一般事情
ブルガリア共和国は、欧州南東部のバルカン半島の北東部に位置し、北はドナウ川を隔ててルーマニア、西はユーゴスラビア、マケドニア、南はギリシア、トルコと、それぞれ国境を接し東は黒海に臨んでいる。
国の中央部を東西にバルカン山脈が走り、その北部は主にドナウ川流域の台地、南部もなだらかな平野を形成している。
国土面積の31%が平野で、200〜600mの丘陵地帯が43%、残り26%が600m以上の山地となっている。
国土面積は110,912km2(日本の0.29倍)で、人口は836万人(97年末)であり、首都をソフィア(人口111.4万人)におく。
気候は一般に温和な大陸性気候で、特に南部は亜熱帯性をおびている。
民族は、ブルガリア人(約80%)、トルコ系(9.7%)、ロマ(3.4%)等となっている。
言語は、ブルガリア語(スラブ語系)が公用語として使用されている。
宗教は、住民の85%がブルガリア正教(キリスト教)、13%がイスラム教、ユダヤ教0.8%、ローマ・カトリック教が0.7%などとなっている。
なお、通貨はレフ(複数形はレヴァ)(99年4月2日現在1ドル=1,804レヴァ)を使用している。
ブルガリアは、本来肥沃な土地と温暖な気侯に恵まれた農業国であったが、第2次世界大戦後、社会主義国として発足し、以来旧ソ連の指導の下で重化学工業化を推進してきた。
その結果、国民所得に占める工業生産の比重は増大したが、農業生産は低下した。
ブルガリアの経済は、1989年の東欧革命後、市場経済への移行のための経済改革を開始したが、(1)輸出入の70〜80%を依存していた旧コメコン市場の喪失、(2)国連による対ユーゴ経済制裁による多大な損害、(3)頻繁な政権交代による政策の非一貫性などの要因により改革が遅延した。
GDPは94年にプラス成長に転じたが、96年には経済全体が悪化し、GDPも10.1%のマイナス成長となり、中・東欧諸国の中で最悪の状況に陥った。
このような状況の下で、97年に成立した現政権は、IMF主導の経済改革を推進してきた。同改革においては、民営化を重視し、全国営企業を対象に民営化を推進している。
また、金融面では固定相場制を導入するなどの金融安定化策を採っている。
これらにより、97年7月以降はインフレ率は低下し、為替相場も安定しており、98年はGDP成長もプラスに転じた。
今後は、IMF主導の構造改革を一層推進して経済を安定させ、外国からの投資を増進させることが最大の課題となっている。