また、同データセットを用いて、太平洋および大西洋の全域で海面水温の長期変動解析を行った結果、ほとんどの海域で近年の方が20世紀前半よりも0〜1℃程度高い水温であることが示された(日本気象協会、1999)。それぞれの海域に注目すると、北太平洋中高緯度の中部から西部にかけて、1940年〜1945年頃に海面水温、海上気温等の気候値がその前後において大きく異なっている。これは、山元ら(1986)が日本の代表的な観測所の気温データに基づいて解析した結果と同様な変動特性を示しており、山元らの提唱する「気候ジャンプ」は、北西太平洋の中高緯度において顕著な、この海域スケールの気候変動であることが示唆された(日本気象協会、1998、1999)。
なお、気候変動の解析には、観測方法の変遷よる測定値のバイアスや統計上の誤差等を評価した厳密な解析が要求される。これまで、本事業では電子媒体化したデータを利用して、海洋気候の予備的な解析を行ってきた。しかし、現在まで多くの電子媒体化データが蓄積されてきており、さらに厳密な解析ができるようになってきたこの要望に応えるため、花輪公雄東北大学教授を部会長とする解析作業部会が設けられ、詳細な気候変動の解析が行われている。
4. まとめ
本事業では、神戸海洋気象台が蓄積してきた船舶海上気象観測データを、約160万通電子媒体化した。このうち品質管理が済んだ約105万通をCD-ROMにより一般に公開した。このデータセット「KoMMeDS-NF」は、海事関係分野や地球環境研究において、重要な役割を果たすものと期待される。