
ここで、(18O/16O)および(D/H)は、それぞれ18Oと16OおよびDとHの濃度比をあらわす。通常、標準物質としては、標準平均海水(Standard Mean Oceanic Water)が用いられ、SMOWと略記される。
注3. 古墳
古墳は、雨水による機械的侵蝕をなるべく受けなくてすむように設計されている。まず石室の周囲を粘土で囲って不透水層を作る。次に、この上を砂層で取り囲む。さらに古墳の表層は礫層である。この構造のため、雨水は古墳の表面は流れず、地下水となって砂層を流れる。これにより、流水の運動エネルギーが弱められて、機械的侵蝕が起きにくくなる。
注4. 鉱石
日本は鉱物およびエネルギー資源の乏しい国で、必要な資源の大部分を外国から輸入している。このような中で、石灰石資源には恵まれている。ところで、「鉱石となる石灰岩を石灰石と呼ぶ」と書いたので、ここで「鉱石」を定義しておく。
ヒトを他の動物と区別している大きな点に資源の利用がある。鳥は巣造りに小枝を利用する。しかし、その利用は現物そのものか、それを折ったり曲げたりすることにとどまる。これに対して、ヒトは必要な物質を抽出して利用している。砂金の場合、多量の石英粒子の中から金粒子を拾い上げて利用するので、手間はかかるものの、鳥の小枝の利用と同じである。これに対して、砂鉄(海浜の砂の上に波が引くときにできる黒い筋がその例)では、拾い上げた鉱物が磁鉄鉱Fe3O4なので、そのまま鉄として利用することはできない。これを
Fe3O4+2C→3Fe+2CO2 (N3-1)
という反応で還元して、鉄の単体にしなければならない。このような操作は他の動物にはできない。砂鉄から鉄を抽出するためには、まず1]多量の石英粒子中から磁鉄鉱粒子を選別し、さらに2]それを反応(N3-1)で還元しなければならない。このとき、1]および2]の過程に多量のエネルギーが投入される。その投入エネルギーの量は、元の砂鉄に含まれる鉄の量が少ないほど多くなる。経済的には投入するエネルギーの経費が製品の鉄を売って得られる収入より小さくなければならない。これから、砂鉄に含まれている鉄含有量の最低値が決まる。これをカットオフ品位という。鉱山ではこのカットオフ品位以上に有用元素を含む岩石を鉱石という。
固体地球の表面から10〜50?の部分を地殻という。この地殻の平均化学組成を地殻存在度という。この地殻存在度に対する各金属元素のカットオフ品位の比をとってみると、鉄やアルミニウムでは10、銅や亜鉛では100〜1000、金や白金では10000である。
注5. 資源の分類資源は、まず、物質を利用する鉱物資源と、化合物に蓄えられているエネルギーを利用する燃料資源に分類される。さらに、鉱物資源は物質をそのまま使う土石、鉱物の段階まで分離して使う工業鉱物資源、元素まで分離して使う金属資源に分けられる。
注6. 骨材建設用充填物として使われる土石資源を骨材という。骨材はその粒度により、粗骨材と細骨材に分けられる。これらは、要するにそれぞれ砂利と砂のことである。ただし、専門用語としては、砂利、砂は天然物に対して用い、砕石により生産した骨材を含める場合は、粗骨材、細骨材という。
注7. 骨材中国の人民大会堂の柱石にストロマトライトが使われている。