このような特性を持った点群分布の場合、中心からの距離、つまりスペクトル性の一つの表現を重要視すると、通常の点間シナプスでなく座標原点から各点を結んだ配置直線の集まりとしてみる方がはるかに見易い(事例:海洋教育)。
b 関連分野、周辺分野への拡大
もう一度分野整理手法に話をもどそう。一般に、ある研究分野は、必ずいくつかの関連分野や周辺分野を持つのと同様に、まとまりのある点群の集合体としてのグローブにも関連グローブ群や周辺グローブ群が存在する。あるいは、恐意的に一つのグローブと少し違った観点で別のグローブを作成し、互いに共通する分野点や事例項目点を配してみることができる。
このようないわば“兄弟グローブ”は、当然3-1-6bで述べたように、互いに融合して新しい“融合グローブ”を形成させることができ、例えば、複雑な問題解決型事象に対処する場合のより有効な手法探索作業にはかなり役立つであろう。
あるいは、新しい学際研究をスタートさせようとするときのスタッフの選択に利用したり、新しい学部・学科など教育体制の整備に当って、新プロジェクトがいかなる既存組織(グローブ)と関係があり、かつ、どのような相違があるかを自ら認識したりすることを明確に示す手法としても、多重、融合、兄弟等のグローブ作成が役立つことは間違いない。
非常に大局的にみると、学問分野を厳密に辿るなら、遠くのどこかでつながっている筈であり、人間の知的作業が便宜的にいくつもの性格の異なった“グローブ”をつくり上げ、自らの専門ジャンルとしてきたのであるから、学問分野のグローブの集合体、つまり分野宇宙が存在することになる。実体は把握できないが、概念として「科学論」入門時の良いディスプレイになることは間違いない。