3-1-5 類似検索モデルについて
散在する関連項目点をクラスター化するには、視点を定めてそこからシナプスを伸ばして連絡するのも一つの手法である。視点が座標(0、0、0)におかれ、そこから関連項目を結ぶレイアウトは、「4-1-1bア 海洋教育の実態・国内例」において示されている。寺岡昭彦氏(三菱電機株式会社先端技術研究所)は、視点を一般化し、その点がもつクラスターを空間に配置する手法を開発されているので、参考論文としてここに掲載引用させていただいた。
ユーザの視点に基づくハイパーメディア型情報の適応的視覚化
1. はじめに
インターネットの急速な普及などによって、情報の電子化は進んでいるが、それらの情報を効率よく利用するための技術は未だ不十分である。このような問題に対して、コンピュータグラフィックス技術を用いて、情報を直感的に理解・操作させるための情報視覚化技術が最近注目を集めている1、2)。
本稿では、情報を利用する際のユーザの要求や目的を「視点」としてとらえ、その「視点」に基づいて、ハイパーメディア型情報を適応的に視覚化する手法と、応用例として、WWWの3次元視覚化について紹介する3)。
2. 適応的な情報視覚化
ここでは、ハイパーメディアをノードとエッジからなるグラフとして扱う。つまり、各ノードは文書ページに対応し、エッジはページ間のリンクを表すものである。各ページはその文書の内容とグラフ構造から特徴づけることができる。なお、ここで述べる手法の詳細については文献3)を参照されたい。
2-1. ハイパーメディアの特徴と「視点」の定義
各ノードの意味的特徴を、キーワードに対する重みからなる多次元ベクトルで表現する。同様にして、ユーザの情報に対する「視点」も、キーワードに対する重みベクトルによって表現する。つまり、「視点」の変化は、各キーワードに対する重みの変化に対応する。さらに、ノード間、およびノードと「視点」の関連度を、それぞれのベクトルの内積によって定義する。また、各ノードの構造的特徴を、あるノードからのパスの距離とする。つまり、ユーザが与えた「視点」ベクトルに対して、最も高い関連度をもつノードからの、グラフ理論上の距離を構造的特徴と定義する。