これらのデータを観測野帳と対照した結果、全部で7データが、観測日時等のミスタイプによるもので、他クルーズ(全て同一年)または同じクルーズ内の他の観測点データであり、重複したものでないことが判明した。注目すべきことは、観測野帳と対照・修正後の全ての重複データがcase1の完全重複に分類されたことである。Table3と比較して、重複データの発生の状況が1970年を境に非常に改善されていることが分かる。
観測野帳を照合した後にも、重複データが存在することは、同じデータが2種類の野帳に記載されていることを意味する。その原因は単純で、ある期間沿岸観測定線と沖合定線のデータが互いに独立した野帳に整理・記載されたことによる。すなわち、船舶運用上の都合から両定線を兼ねた観測点が設けられることがあり、そこでの観測データを沿岸観測定線野帳と沖合定線野帳の双方に記載したためである。
TabIe4でcase4、case6は、観測日時あるいは観測位置に誤りがあったもので、全てヘッダー情報のタイプミスである。それに対してcase2は水温・塩分の値のタイプミスによるもので、両者の発生頻度の差は入力項目の数の差に応じたものであろう。これと同じ傾向は、Table3にも見られ、ヘッダー情報のみのミス(case3とcase5)の発生頻度が他のcase2、case4、case6よりも圧倒的に少ない。チェック・訂正の効果がTable3aとTable3bの間であまり見られなかった理由の1つは、1967年以前では、野帳と直接対照せず水産試験研究機関海洋観測資料と対照したことによるのであろう。すなわち、海洋観測資料に掲載される時点で、すでにかなりのミスタイプが発生していたと考えられる。ヘッダー部の対照を野帳に対して行った1968-69年においてcase1とcase2以外の場合がほとんど起こっていないのはその現れであろう。
なお、case1の場合にも、報告されている標準層の設定が、完全に一致している場合と、異なっている場合がある。Table3bおよびTable4において最後の2つの欄に前者の発生頻度をA、後者の発生頻度をBとして示してある。