このような情報は、油汚染に対する影響度あるいは回復力の判定に用いられるもので、海岸線のランク分けを行っている。このようなマップを日本においても作って行く必要があり、都道府県段階あるいは種々の機関で用意されつつある。海洋情報管理室においても作成準備中であるが、まだ十分なデータが集まっていないのが現状である。
防災を直接目標にしたものではなく地図情報そのものであるが、地理情報システム(GIS)というのがある。地図も「紙に印刷されたもの」という概念から離れつつあり、「電子地図」という形を取りつつある。図18にGISの定義を地理情報システム学会のポスターから引用しておく。「電子地図」の一例は、広く使われているカーナビゲーションで、一般の方にも馴染みのあるものであろう。先に宮本氏から紹介された「電子海図」もこのGISの一部を構成している。海洋情報管理室のリスクマップも、GIS(電子海図)上で作業を進めて行く予定であるが、その例を伊勢湾・三河湾について図19に示す。ここでは、電子海図の上に漁業区域、ヨットハーバーや漁港、油対策として油回収船やオイルヘンスの所在地等を書き加えたものである。