日本財団 図書館


これは結局南緯60°では135kmの格子間隔になっている。おのおののネッテルトン格子上でg、hのペアを見つけることができたが、これはhのグリッドは元々船の音響測深位置に制約されており、ネッテルトン格子点から半径135km以内にあるものである。各々のghペアーは推定点からの距離にコサインウィンドウをかけた荷重がきめられている。仮にデータがn個あればその時の荷重の総和は0.3nである、もちろんデータがr<135kmの領域全体に一様に分布していることが仮定されている。10個かそれ以上の加重平均でSの良い推定値が得られることがわかった。

プレート1においてA、B、Cのラベルをつけたところがあるが、この領域のデータを使って、逆ネッテルトンプロシージャーを適用し各々、6a、6b、6cに示している。

領域Aは太平洋−南極海嶺に沿った若い海底であり、領域Bは大きなフラクチャーゾーンシステム(断列帯系)の近傍にあるやや古い(1.5億年以上か)海洋底である。領域Cは南インド洋のアビサールプレイン(海洋平原)である。堆積層の厚さは領域Aでは無視出来るほどに薄くA、B、Cの順に厚くなっている。gとhの分布の幅は順次減少していく。図6a、図6b、図6cは上段にgのヒストグラムを、中段にhのヒストグラムを示しており、下段にhとgの分布状況を表している。

分布状況を表す最下段の図面は堆積層の厚さにによって分布の仕方が小さくなっていくことを示すために縦軸横軸のスケールはA、B、Cともに同じにとっている。それに対して各ヒストグラムの階級値の幅と縦軸目盛りはデータ分布が良く分かるように次々と変えている。堆積層の増加による影響はデータ分布のスキューネス(尖り具合)を増加させている。特にhの水深データでは特に顕著である。

(Skewness:曲がり具合、実際にはガウス分布から外れる度合いを表現している)

単純な一次回帰直線を使うことにして、g、hのペアーについて直線を当てはめるものとする。この時通常の最小自乗法を使用する、その時の仮定はgが完全に既知であるとしてhに何らかのランダムな誤差が含まれると考えるのである。ここでSをこの直線の傾斜と考えることができる。もし両者に誤差があると仮定した場合は回帰直線の傾斜の推定がバイアスを受ける事が考えられる。この場合の最適な傾斜Sの推定値はS=±σh/σgであらわされる。ここでσg、σhはgとhの標準偏差になっている(ベンダットとピエソルの1986年の論文参照)、このどちらの場合でも、この直線はghの平均に対応した点を通過する。またhのバリアンス(分散)の部分はgとの関連によって説明がつくものでこれは線形の相関係数によって特徴づけられるものである。これらのパラメーターは仮にデータ正規分布や通常の2項分布をしている場合には、最尤法によって決定できる。

仮にデータが通常の非正規分布の場合σの推定に通常の標準偏差を使用しなかった。

代わりにσをσ=1.4826Σを使っている。ここでΣはgまたはhの絶対値に関する荷重付きのメディアンである。メディアン(中央値)からの偏差の絶対値はよく知られていることであるが、分布の広がり方の非パラメトリックな推定値になっている。また係数1.4826は正規分布のσと、このσを等価にするためのものである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION