様々な職種の人のまとまりが大きな力に
医療法人愛和会愛和病院
西ヶ谷 真希
はじめに
緩和ケアナース養成講座の多岐にわたる4週間の講義の後、2週間の実習を国立がんセンター東病院緩和ケア病棟にてさせていただいた。これは、講義で学んだことを、机上ではなく、実際のケアの中で確認できることを意図しているものと捉えた。
私自身、緩和ケア病棟に勤務しているが、理想と現実のギャップを感じることもある。それぞれのホスピス、緩和ケア病棟で特徴があり、長短所が多かれ少なかれあるものと思う。研修に参加するにあたり、以下の目標と課題を持っていた。
1. 様々な人と関わり、多様な考え方・価値観を知り、視野を広げる。
自分の考え方・価値観を客観的に見つめる。
2. 緩和ケアの基本的な考え方・知識・技術を再確認・追加し、習得する。
1] 症状コントロールにおける看護婦の役割を学ぶ。
2] 家族・遺族ケアにおける看護婦の役割を学ぶ。
3] 他職種の役割を知り、チームアプローチについて学ぶ。
4] スピリチュアルペインについて自分なりに考えられる。
5] サイコオンコロジーについて学ぶ。
3. 他施設の方々との関わりの中で、自分の施設の現状(長短所含め)を見つめ、学びをどのように活かせるかを考える。
そして特に、実習を研修参加の目標と課題3の機会としたいと思った。
そのため、実習の目標を次のようにした。「がんセンター東病院の緩和ケアの全体像を学び、更に、症状コントロール、家族・遺族ケア、チームアプローチ等の実際を学び、自分の施設の現状(長短所含め)を見つめ、学びをどのように活かせるかを考える」。
2週間という限られた期間で、どのようにしたら東病院の緩和ケアの全体像を把握できるのかを考え、緩和ケア病棟だけでなくPCU外来・電話相談・在宅電話サービス部門でのケアの実際を、積極的に見聞きして学ぶことを基本とした。その結果、外来の患者さん、病棟の患者さんに出会え、在宅通院・入院待ち・入院・症状コントロール・看取り、それぞれ各期の患者さん・家族の状況、気持ち、行われているケア、抱えている問題等の一部に触れることができた。そして、業務の流れを知り、継続性のあるケアのための体制を知るために、夜勤も実習させていただいた。このように臨んだ実習の中での学びについて、ここに報告したいと思う。
実習を通して学んだこと及び今後の課題
1) がんセンター東病院の緩和ケアの全体像と学び
東病院は、東京築地の中央病院とともにがんの早期発見や治癒困難ながんの治療と研究をすることを目的として設立された。病院の機能の一つに、「進行がん患者に対する緩和ケアのモデル的実施」が掲げられており、平成4年7月、他病棟と同時に緩和ケア病棟も開棟した。緩和ケア病棟では、設立の理念と病棟の目的を以下のように挙げている。病棟に入院するためには、外来登録が必要であり、登録の前にかならず病棟の目的を説明をしている。