4) チームアプローチ
自分たちの医療チームの現状の振り返りができた。チームメンバー一人一人が自分に対する役割期待は何か、責任は何かを明確にする必要がある。チームの特徴を知り、それぞれが効果的に責任・役割を果たしていけるようマネジメントすることも必要である。また、患者にとってチームアプローチを行うメリットが少しでも多く得られるようにしなければならない。「異質を取り入れる」「互いに違いを認識し合う」。このことはとても大切であるが、難しい。チーム間の人間関係は治療にも影響を与えるため、特に医師との関係は重要である。チームに属することの楽しみを感じられるようなチームづくりが理想である。緩和ケアにおいて、患者の身近にいる看護者がケアに関してのリーダーシップをとる場面は多い。ここでもコミュニケーションスキルは重要となる。
実習での学び─緩和ケアの実際─
社会福祉法人日本医療伝道会総合病院衣笠病院ホスピスにおいて実習を行った。衣笠ホスピスは開設後一年の施設である。新しい施設であるという点で、開設にあたっての病院全体・看護部の取り組みについても新鮮に学ぶことができた。ホスピスにおける実際のケアを目にするのは初めてで、すべてが新鮮であった。そして、看護ケアのみならず、いろいろな面で多くの学びを得ることができた。
緩和ケアの実際について、特に印象深く学んだことは以下の5点である。
1. 症状マネジメントの実際
2. チームアプローチにおけるカンファレンスの重要性
3. ホスピス(緩和ケア病棟)での家族援助の重要性と実際
4. スタッフ教育への取り組みと実際─“傾聴”の大切さ─
5. 緩和ケアにおける看護婦の専門性
百聞は一見に如かずである。症状マネジメントを適切に行うことにより、がんは決して苦しみながら死を迎える病気ではないことを何よりも実感として学ぶことができた。また、ホスピス(緩和ケア病棟)での死には“急変”という言葉はまず存在しないことを知った。
衣笠ホスピスではソフト面の充実として、“心を聴く(傾聴)”を重視し、看護婦ボランティアのトレーニングを行っていることが特徴的である。患者・家族の心のケアを行う上での基本であり、素晴らしい取り組みである。継続した教育の必要性を再認識した。
今後の課題
1) 緩和ケアに対する考えを広める
医療者をはじめ、一般の人にも理解を得ていく必要がある。
2) 緩和ケアの推進
基本的考え、具体的な方法を学びながら、病院全体で緩和ケアが提供できるように推進していく。まずは、地道に勉強会を実施し、緩和ケアを実践していく。
3) 緩和ケア教育
人間の尊厳、看護者の姿勢など基本的なところから見直し、緩和ケアについての継続した教育がなされるよう計画していきたい。
今後の課題は数多くあるが、上記3点を中心に、地道に自分のできることから実行していきたいと考えている。
おわりに
看護は「その人なり」といわれる。特に人生の最期を迎えようとする人と向かい合う貴重な瞬間には、自分の無力さを思い知らされることが多い。緩和ケアナース養成研修は自分自身を問い直すよい機会となった。